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血の黙示録より。  作者: 血の黙示録再編集者
序章 一介の官僚
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とある歴史学者の言葉

これはただの前書きです。

〈とある歴史学者の言葉〉

 さて、私は今まで明瞭でなかった“前時代”の歴史について調べていた。どのように彼ら彼女らが繫栄したのか、どのような文明が築かれたのか、そしてどのようにして滅んだのか・・・。今まで神話で片付けられていた部分にメスを入れ、解明しなければならないと思い当たったのだが、その手がかりを見つけるのに数多の壁が存在していた。考えてみるがいい。今まで文献の少ないものをはっきりと説明しろ、と言われても無理な話だろう。・・・だが、つい最近発見された大島(現地人によるとオーストラリアというらしい)に上陸した探検隊が持ち帰ってきた物品の中に、前時代の歴史を綴ったものがあった。それも、私が一番知りたかった前時代の末期の話であった。辞書を片手に一つ一つ言葉を翻訳した結果、私はまず絶望した。そこに書かれた内容は我々が知る神話からかけ離れたものであった。この資料がどれほどの精度さを持つかは知りえないが、もし仮にこれが正しいとするならば、我々の常識を根本的に変えてしまうだろう。そこにあったのは神々の住む楽園でも、人々が平和を謳歌する桃源郷でもなく、地獄そのものであったというのだ。地獄と一言でいっても、亡者がうじゃうじゃと徘徊していたり、溶岩がそこら中にあったりするわけではない。そこは、血の匂いが漂う殺し合いと騙しあいが頻発していたところだったらしい。なあに?我々の過去もそうであったではないか?という者もいるだろうが、それの数倍は悲惨なものであると想像してほしい。狂人たちがただ一言を喋るだけで一つの街が壊滅するほどの蛮行や陰謀が行われたことは我々の歴史には一度もないが、この世界では当たり前の光景になってしまったらしい。

 歴史を知るのはいいことだ。なぜなら、彼らの過ちをしることができるからだ。いい教科書になるのだ。前時代の人々からしてみれば失礼な話ではあるが、彼らは我々が進もうとする道にどのような未来が待っているかを実際に体験した被験者でもあるのだ。人はなかなか学ぼうとしないが、これを機に我らの世界で起きている諸問題を見直してはみないか?


 さて、いい加減に話を進めよう。新たに発見された本“血の津波”は“レイ”という人物によって書かれた。・・・驚くべき事だろう。私の知る神話の中では彼は世界の救世主であり、最初の指導者ともされている。そんな彼が書いたらしい。だが、この本を訳し終えた後、私は彼に失望した・・・。我々は幻想を見ていたのかもしれない。私の求めていた理想の彼がはるか上の存在であることは認めるが、それにしてもあまりにも違いすぎるのだ。小心者であるという意味ではない。彼は聖人であり凶悪人でもあるのだ。彼の神話を信じる者から批判を受けるのは重々承知しているが、私はこれを出版することを決めた。これは、今まで発見されていた文献と”血の津波”に書かれた内容を照らし合わせて再解釈された、前時代の末期の全容を知るための歴史書である“血の黙示録”だ。


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