プロローグ:時として残酷な運命には争えない
万物において、始まりがあるように終わりもある。
またその逆も然りで、まるで初めから定められた運命とでもいうべきか、目に見えない不可視のレール上を歩かされているのかもしれない。
この世は平等と謳いながらも不平等だ。
だがそれでも唯一とも呼べるのか、時間だけかもしれない。生まれ落ちた瞬間から与えられ、様々な過程を得ての果てに終える。
それは自分で選ぶことはできず、誰かから与えられたもの。
その誰かとは、神?
それとも、世界?
もしくは、広がり続ける宇宙?
そんなことをいくら考えても答えがみつかるどころか、短くも長い一生を棒に振ってしまうかもしれない。
……話を戻そう。
じゃあもし、平等に与えられた時間を好きに遡ることが出来たらどうする?
あの時の後悔をやり直す。
未来へと行き、起きうるすべての事象を知ったのちに過去へと戻った。まるで魔法のように先々を見据え、神にでもなったかのような全能感に周囲から崇められるかもしれない。
もしくは幸福だった時間を繰り返す。
何を基準として幸福と指すかそれぞれだが、いつまでも続くのであれば心が満たされるだろう。自分の好きな人や物に囲われ、何不自由なく生活することが出来る。
気に入らなければ、また時間を遡ってやり直せばいい。
まるでゲームのような力を手に入れられたら、アナタはどうしますか?
身に降りかかる恐怖もなければ、いつかは尽きる命の心配もしなくていい。思い切って世界一周どころか、何十周だってできるだろう。
すべては自分のさじ加減で、思うがままできる。
メリットからすれば、これくらいがわかりやすいだろう。
上手い話には何か裏があるとまではいわないが、これはそういった類の問題じゃない。冷静になって考えると、いつまでも繰り返す時間の中は牢獄のようにも捉えられる。
どこで何かを間違えてしまい、囚われることになったのか。
もしくは第三者の介入によって、運命のレールを捻じ曲げられてしまったのかも。
どうやればこの運命から抜けだせるのだろうか……。