表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/89

ドライブに行く前の朝食


 駅ビルでの買い物を終えた翌日。

 朝早く目が覚めた俺は、朝食の準備をしていた。


 すると目を覚ました楓坂が起きてくる。


「笹宮さん、おはようございます」

「おはよう。楓坂」


 パジャマ姿の楓坂は、眠い目をこすりながらキッチンに立つ。

 そしてエプロンをつけて、料理の手伝いを始めた。


 料理が苦手な楓坂だが、手伝いをする中で少しずつ慣れ始めている。

 まだ包丁を持たせるのは危なっかしいが、その成長は確かだ。


「昨日はちゃんと眠ることはできたか?」

「はい。……あのぉ、昨日はすみませんでした」

「なに言ってんだ。そんなこと気にするなよ」


 昨日俺達はお互いの気持ちを知ることができた。

 だが恥ずかしがり屋の楓坂には、まだ普通の恋人のようなやり取りをするほどの余裕はなく、ちょっとしたことでのぼせてしまう。


 昨日は腰が抜けて、そのまま寝てしまったくらいだ。 

 まぁ、でも。それが楓坂らしくていいのかもしれない。


「今朝食の準備をしているから、ちょっと待っていてくれ」

「それじゃあ、今のうちに動画をアップしておきますね」

「ああ」


 いちおう俺達はカップルYouTuberとして活動をしている。

 ストーカー対策として始めたことではあるが、純粋に動画配信そのものを楽しんでいた。


 一度時間帯がズレてしまったことをきっかけに、配信時間は不定期ということにした。


 そうしないと、準備が間に合わないのだ。


 しばらくして、俺達は朝食を食べ始める。

 今日のメニューは目玉焼きにウインナー、そしてトースト。

 オーソドックスな朝食メニューだ。


 朝食を食べながら、俺達は動画配信について雑談をしていた。


「初回ほどじゃないが、順調にチャンネル登録者数が増えているな」

「ええ。今月の収益が楽しみ。うふふ」

「お嬢様なのに、そういうところはちゃっかりしているよな」


 俺はコーヒーを飲む。


「でも、もう偽物じゃなくて、本当のカップルなんだ。堂々と配信できるのは気が楽だ」

「私達、付き合ってるんですね」

「ああ」


 すると楓坂は俺の方を見て、しばらくぼーっとしていた。

 目が合うと、慌てて下を見る。


 はっはぁ~ん。さては照れているな。


 こうして付き合い始めたからこそわかるが、楓坂の初々しいところは率直に言って可愛い。

 見ているだけでも、楽しいと思う。


 いっぽう楓坂は俺に見つめられて、照れながらコーヒーを飲もうとした。

 だが……。


「あつっ!」


 落ち着かない状態で飲もうとして、うっかり熱さを確認せずに飲んでしまったらしい。


「ははっ、なにやってんだよ」

「んむぅ~」

「そうふくれんなよ。大丈夫か?」

「はい。火傷というほどではないので」


 こういうやりとりの一つ一つが愛おしいと思う。

 朝食だけでこんなに幸せな気分になれるのだ。

 今日のドライブはどんなことになるのだろうか。


 こうして俺達は支度を整え、マンションを出る。


 そして近くの駐車場まで移動して、自家用車のSUVに乗り込んだ。


「笹宮さんって、意外と車を綺麗にしていますよね」

「意外ってなんだよ。部屋だって綺麗にしてるだろ?」

「貴方の場合、何もないっていうのが適切じゃないかしら」

「そうか?」

「今度、家具も買いに行きましょう。これからも一緒に住んでいくんですから」

「そうだな」


 鍵を回して、エンジンをかける。


「じゃあ、行くか」

「はい」


 目的地は日帰りで行ける滝。

 さぁて、のんびりと楽しむか。

いつも読んで頂き、ありがとうございます。

☆評価・ブクマ、とても励みになっています。


次回、ドライブデート


投稿は【朝7時15分頃】

よろしくお願いします。(*’ワ’*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 普通の恋人のやり取りができないのに、しているのは同棲生活とはなんとも/w 滝が好きというのは、一風変わった趣味のような気もするけれど。滝行っていうのは、一度は経験したいと思ったりもするのだ…
[良い点] 二人の心情変化がとても伝わって来ましたね♪ [一言] 笹宮の楓坂を思っての焦らない姿勢が楓坂を大切にしてるのが伝わりますね。 楓坂がのぼせるのは仕方ないですよね♪だって好きな人とやっと思い…
2021/06/07 12:42 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ