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ゲームじゃない。

 一瞬の沈黙のあと。


「ログアウトってあれよ。それまでやってたゲーム、やめるときのあれ」


「ゲーム?」


「だからさ、接続を切る? みたいな意味の!」


「接続って、どこかに繋がってるの?」


「もう、ふざけないでよ!」


「ふざけてなんかないよ?」


 真面目に話してるのになんだかはぐらかされているような答えに、だんだんと腹もたってきて。


 もう! いい加減にして!


「いい加減にして! あなたはこのゲームのナビゲーターなんでしょう? だったらもっと真面目に答えてよ!」


 と。


 そんな風の怒鳴ってしまっていた。


 そんなボクの態度に少し困ったような顔をして、フニウ。


「うーん。どうやらそこに認識の齟齬があるみたいだね」


 と、そうゆっくりと言った。


「確かに僕はこの世界の君にとってのナビゲーターだって言ったよ。だって流石にいきなりこんな世界にやってきた君がかわいそうじゃない? 何も情報もなく放り出されちゃ、さ」


「でもね? もしかして君、この世界の事、作り物だって思ってたの? ゲームって、遊戯でしょ? ほんとにこの世界が偽物だと、そう思うの?」


 真剣な声でそういうフニウに。




 ちょっとだけ冷静に考えてみる。




 今ボクが感じているこの五感に伝わってくる感触。




 ちょっと肌寒い、そんな風。


 うっすらと夜があけるように空に赤みがさし、だんだんと周りの景色が目の前に現れてきて。



 そこにある緑豊かな大地。ここが高台にある場所だってわかるように遠くまで広がる草原を見下ろして。



「ここはケンタウリの森の入り口。ねえセリーヌ。ここから見えるこの世界の全てが君には本当に偽物に見えるの?」


 ああ。


 確かに。


 見たことのないそんな風景だけれども。


 映像、でもない。


 こんなにもリアルに感じられる世界。



 自信、無くなってきた。


 ボク、一体どうなっちゃったっていうの……?




「まあそんな難しく考えなくてもいいんじゃない?」


 え? シルヴァ?


「セリーヌにとってのここが偽物でもなんでもいいよ。でも俺は感じてるよ。今、生きてるって」


 ああ。


「まあ産まれたばっかりの俺がそんなこと言っても、真実味は薄いかもだけどさ」


 って、なにそれ?


「でも、感謝してるんだぜ? 俺を産み出してくれたのはお前なんだから」


 シルヴァ……。


「俺はお前の為に、お前を守る為だけにこの世界に産まれた。だから命をかけて守ってみせるよ」


 そういうとシルヴァ、ボクの前で跪き、そっとボクの右手をとった。


 そして。


 手の甲にキス……、って、キス……!?


 あうあうあう。


 あまりにも大仰なそんな行為に顔が熱くなるボク。


「もう、そんなに真っ赤にならなくてもいいじゃない。セリーヌは姫なんだから、これくらいのことには慣れてもらわなくちゃ」


 って、何? 今度は姫? もう、頭の中が追いつかないよ。

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