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人は、そうなりたい自分になるんだよ。

 真っ白な世界。


 ここは……?


「はーい。気がついた? じゃぁ早速キャラメイクといこうか?」


 え? 何?


 目の前をぷわぷわ浮いている猫?


 ちょっとかわいい猫のぬいぐるみみたい。白っぽい毛色なんだけど所々クリーム色で。


 かわいい赤いチェックのベストを着てる。


 二本足で歩いているような動作で空中をぷわぷわ移動してるそのヌイ、ううん、ネコ。


「僕の名前はフニウ。君のナビゲーターだよ?」


 と、そうのたまった。


「ナビゲーター?」


「そう。この世界は複雑だからね。迷わないように僕が案内してあげる」


 ああ、それは嬉しいかも。このねこ可愛いし。もふもふだし。


 って、初心者用の何かなのかなこれ?


「じゃぁ早速君のキャラメイクからねー。まずどんな服がいいか選んでねー」


 え? キャラメイクっていったら容姿から作ったりするものじゃない?


「って、容姿の選択はないの?」


「え? 容姿? そんなもの選択できるの?」


「えー? 出来ないの?」


「人はさ、自分がそうなりたい自分になるんだよ? だからもう君はちゃんと自分になってるはず。選択って、変装みたいなもの? それならそういうマジックアイテムがない訳じゃないけど僕持ってないよ?」


 あうあう、って、ボクどうなってるんだろう……?


「ってことで服は色々用意したから好きなの選んでねー。お化粧は、必要ないね。すっぴんで充分綺麗だもの」


 はい?


 フニウがどうやったのか前足のにくきゅうをぽんと鳴らしたと思ったら、目の前にドレッサーと衣装ケースが現れた。


 ちょっとアンティークな可愛いドレッサーにでっかいタンス2つ分くらいな大きな衣装ケース。


 鏡に映る姿をよくみようと鏡台を覗き込むボク。


 そこには理想のボクが映っていた。顔立ちは今までとほとんど変わらないけど髪がするっと伸びて背中まである感じのロングヘア。

 もともと癖毛だったからちょっと緩くパーマでもかかったかのようにふわふわだ。


 そして。


 真っ白な頭からかぶった感じのゆったりしたワンピースにはたゆんとした胸の隆起が見て取れる。


 って、えー?


 下半身の感じも、たぶんこれは……。


「ねえフニウ。これって、ボクって、女の子になってる?」


「はは、何を今更。君、性別女性で登録されてるよ? この世界で」


 その言葉に、ボクの頭は真っ白になって。


 そのまま数分固まってしまった。

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