◆◇◆加奈とメアリー(シュートコメディー)◆◇◆
◆◇◆女という漢字◆◇◆
アメリカからホームステーに来たメアリーに、漢字を教えてあげた加奈。
教えてあげたのは“おんな”という漢字の書き方。
「ひらがなの“く”に、カナの“ノ”、それに漢数字の“一”で女よ」
「ヒラガナノ国ニ、加奈ノ脳、ソレニ関数時ノ位置デ女???? 日本ノ女性ワ難シイデスネ!」
「?」
◆◇◆男という漢字◆◇◆
続いて“おとこ”という漢字の書き方をメアリーに教えてあげた。
「漢字の“田”に、“力”と書いて“男”よ」
「漢字ノ“谷”、“力”ト書イテ“オトコ”デスカ?」
「そう“男”よ」
「日本ノ男性ワ、“欲”ガ深イデスネ」
「どうして?」
「ダッテ“谷力”デショ。欲ト言ウ漢字ノ最上級型ニ見エマス」
◆◇◆道路を渡るとき◆◇◆
「メアリー、道路では車に気を付けてね!」
「キヲツケル?」
「汽車ガ来マスカ?」
メアリーは、”車”に”キ”を着けて、汽車にしてしまった。
◆◇◆お手洗い◆◇◆
「加奈~! 台所にあった、おたま知らない?」
ママが台所からリビングに居る私たちの所に来て聞いてきた。
「知らないよ」と答える私にメアリーは「オタマサン!? 絵本ニ出テ来ル巨大ナ、オタマジャクシワ、加奈ノ家ニ居タノデスカ?」と、目をランランと輝かせて聞いて来た。
「違うわよ。おたまさんは絵本の中のお話しで、ママが捜しているのは台所用品」
「ナンダ、ツマラナイ。ワタシ、トイレニイッテキマス」
「あっ、私次ね! 出たら呼んで」
「OKデス。加奈」
暫くして呼んでもらったので、トイレに行くと、なんだか怪しい儀式をしているメアリーがそこに居た。
「メアリー……なにしてるの?」
メアリーの右手に握られているのは、ママが捜している“おたま”。
そしてメアリーは、そのおたまで水道の蛇口から水を汲むと、おたまから左手に水を掛け今度はおたまを左手に持ち替えて、右手に掛ける。
また右手に持ち替えると今度はおたまの水を左手に受けて口を漱ぐと、また持ち替えて今度はその水を左手に掛け、最後におたまを立てて洗い洗面台に俯せて置いた。
「メアリー何してんの?」
「オ手洗イノ作法デス」
「それは神社の御手洗いでの作法よ、家のトイレでは普通に手を洗えばいいのよ」
「スミマセン。ワタシ日本ノコト、マダヨク知ラナクテ……」
勘違いしているけれど、私より神事に詳しいメアリーだった。