きみが ちかづく【冬の詩企画】
君が 近づく 足元を駆け抜ける
透き通った色した 木枯らしに知らせを乗せて
羽織るジャケット 風が踊る
訪れ告げる 名を持つ 一番
街路樹を ざわわと揺らし 舞い降りる
木の葉がカラカラ 地面をくるりと回り
去ってゆく
君が近づく 真夏の空に
高く昇る真白い硬い雲達も
秋になり やわとほどけて暖かく包むよな
綿となりしその姿
一番吹けば 雲はとろと溶け
薄鼠いろが 広がって
時雨の季節を 連れてくる
柿の木 甘い実オレンジいろ もみじの赤に
楓の黄色に 紅葉終えた 茶色の木の葉達
はらりはらりと大地に降りて
大地に秋いろ 染めて行く。
君が近づく ごうごうと 空気を響かせ
とどろき 鳴らして 来るべき季節が目を覚ます
雪起こしの空の音
天高くから 氷の風が 吹き降りてくる
足元手の先 頬に 髪 キンと冷えきり
吐く息真白い 夕の暮れ時を迎えれば
どっどどうどう ひゅるひゅるると
夜半に吹きすさぶ 風に乗って やってくる
白き兵士を引き連れた 将軍様がやってくる。
君が来た 多分きた 音を飲み込む君が来た。
少し早起き 高まる期待 白くカチに凍ってる
窓ガラスをシャリシャリと
こすって外を見てみれば
白く 白く どこまでも
空も 大地も 黒い姿の杉山も
真白い世界に変わっている
しんしんと しんしんと
君は音を飲み込み 空から舞い降りる
自分たちの音だけ立てて
世界を白に ましろに
白銀に 静かに一気に とじ込めていく
雪原を ずぼっ ずぼっ と一歩づつ
歩く楽しみ ふわふわの
積もりたての 新雪 深雪
そこへ北風吹けば
さらららと雪を巻き上げ
駆け抜け空へと上がる
降り続く さら さらさらと
鼠いろの雲から降りてくる 白い君。
さらさらと さらさらと さらさらさらと
全てを閉じ込め 動けなくして行く
真白い花びら降り積もる
白き華 さらと音たて降りしきる
ごうと音たて舞い上がる
ざんと音たて吹き降りる
風に舞う 視界を真白に包み行く
全てを白に隠していく
そして夜半に 君が止む
静かに降ってた 君が止む。ようやく止んだ
しかし 次なる訪れ 凍てつかせる力持つ
冷気の妖精達は 君が止んだら 目を覚ます
そして君は固まる。夜明けに しんと広がる
妖精達に冷やされて カッチカチに固まり
世界は一夜で 透明な 氷の支配
冬将軍の奥方の 美しき氷の女王 君臨される
透き通った 空気をまとう
麗しの女王が降りられる
青く青く どこまでも どこまでも
高く澄んで 晴れ渡る 冬麗の朝
キラキラと 空気に舞い飛ぶ
ダイヤモンドの欠片達 小さな踊り子
光を放ちながら くるくる踊る
そんな朝 手袋はめた手で そっと触れるは
眠りについてる 梅の木の
枝に花咲くように宿ってる
コロコロ丸いまるい 透き通った
水晶のような 氷の粒の冬の華達
ザクザクと 深雪にはまる事なく
歩ける雪原 白き道
太陽の光の七色のプリズム
綺羅にきらに降り注ぎ
チラチラ光輝く 白い道。銀の原
そんな景色を目にすると 立ち止まり
足先しびれる寒さに耐えながら
外の空気の冷気から 守るために
はめてるマスクを外して 息を吸う
ピリピリと 痛い口元
氷点下 ツンと香りを乗せる
肺へと入り込む空気が 氷の塊となり
私の中を満たしていく
綺羅に、キラキラ、
綺羅に輝き放つ 氷の世界
軒下に 育つ氷柱も光を宿し
燦然と君の世界をクリアな光で照らしてる
木々も 山も 大地も 川面も
ゆるりと眠りについてる
この世界 小鳥も 動物達も
南に引っ越し 姿は見えない
静かな しずかな 密やかな
時にしばらく包まれる
君が訪れし 深山白銀 眠りの世界
君が近づく 部屋にさげてるカレンダー
その最後の一枚になったとき
君の季節が訪れる。
本作は「冬の詩企画」参加作品です。
企画の概要については下記URLをご覧ください。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1423845/blogkey/2157614/(志茂塚ゆり活動報告)
なお、本作は下記サイトに転載します。
http://huyunosi.seesaa.net/(冬の詩企画@小説家になろう:seesaablog)




