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出発!

「パンパカパーン!おめでとう!君は異世界転移の権利を獲得しました〜!」


「……は?え、どゆこと?」


目の前の少女が両手を上に掲げて楽しそうに言ってくる。

異世界転移?

なにそれ、美味しそう。

って、そうじゃなくて。


「なにそれ、てかここどこ?」


目の前の少女に問う。


「ここはねぇ、いわゆる神様の世界だよーー!わかる?ゴッドワールド、そう、神域だよー!」


「は、はあ。なんとなくわかったけど、ということは君は神様?」


「イエス、イグザクトリー!そう、この私こそが全知全能の神と呼ばれたゼウス!の娘のひ孫のホープでっす!まだピチピチの240歳だよ!」


自慢気に胸を張って言い張る。

まぁ。胸ないけど。

大丈夫。ステータスだ。

まだ伸びしろがある。

つか256歳ってピチピチなのか?


「ムム。絶対信じてないなー!ま、いっか。それよりも、これからの異世界転移についての説明をするね!」


「なんなんですか?異世界転移って」


「なんと、なんとですね!あなたは百億分の一の確率で異世界転移に当選しちゃいました〜!」


百億分の一!?すごいな。


「すごいなんてもんじゃないよ!ぶっちゃけ本当に当選する人がいるなんてこっちも思わなかったもん!」


なら最初からそんな倍率でやるなよ。なんて思ったけどもう遅いか。当たっちゃったもんね。


「なら、今からはその世界についての説明とかですか?」


「イエス!いやー、話が早くて助かりますよー。それじゃあ、説明を始める前に、ステータス!って心の底から叫んでもらってもいいですか?」


「?......ステータス」


ふと神様を見てみると不満げにこちらを見ていた。

いや、叫ばないよ?

すると目の前に半透明のウィンドウが出現した。


名前 : 沢城 水詩 (さわしろ みう)

種族:神

ジョブ : 神(下級)

HP : ERROR

MP : ERROR

STR : 未詳

VIT : 未詳

DEX : 未詳

AGI : 未詳

INT : 未詳

LUK : 未詳

スキル

未詳

称号

未詳


「あれ、なんでこんなに未詳が?ってか種族神って?」


「あ、出た?今からその未詳の部分を決めてくんだ。あと種族についてね。一応、君は僕たち神々の使徒ということで異世界に送ることになってるんだ。だから種族は神にしてあるの。所謂見習いの神みたいな?あっ、だからと言って別に何かしろということでもないから安心してね!」


なるほど。まあ、別に種族が人っぽいやつならなんでもいいか。さすがにカエルとかよりましだし。


「種族に関してはもう変えることができないから諦めてもらうとして。早速未詳の欄を埋めていこー!」


なんか大事な部分の説明を適当にされてしまったんだが。

そんなことお構いなしに神様は話を進めていく。


「よし、それじゃあ今から君のポイントを調べていくね!まずは、この水晶の上に手をかざしてね」


言われるがままに水晶に手を置く。

置いて数秒、水晶が白く輝き始める。


「お、出た出た。......あれ。なにこれ?バグ?まさか、いや、でもこれって......」


「あの、どうかしたんですか?」


「いや......それがね。君のポイントが......ちょっとありえない数字なんだけど」


ありえない?すごい低いとか?いやいやいやいや、この手の小説は普通の人の100倍くらいとかが定番だろう。それに対して神様が驚いたのか。

うん、さすが異世界補正。


「それで、どれくらいだったんですか?」


期待に胸を膨らませながら聞く。


「......ろ......」


「えっと、もう一回言ってもらっても?」


「あの、落ち込まないでね?えっとね......あなたのポイントが......ゼロなの」


ゼロ?

あの数字の?

自然数にならないあの?

輪っかの?


「......うそん......」


あまりの衝撃に耐えきれなくなり、神様の前に両膝をつく。


「あ、でもでも大丈夫!未詳の欄にプラスの分がなくなってるだけだから!そう、まだ未詳だけの部分もあるから!今開示するね!」


若干のフォローをしつつ、ステータスの未詳部分を開示していく。


名前 : 沢城 水詩 (さわしろ みう)

種族:神

ジョブ : 神(下級)

HP : ERROR

MP : ERROR

STR : 600

VIT : 800

DEX : 40000

AGI : 1200

INT : 40000

LUK : 3000

スキル

剣術7

体術4

魔法(第零階級)10

スキルコネクト10

称号

神々の使徒

ゼウスのお気に入り

勇者より勇者

ゼロポイント


お?これってそこそこ強いのではないだろうか?


「ど、どうでした?」


可哀想なものを見る目でこちらを伺ってくる神様に自分のステータスを見せる。


「うわーー!ち、チートじゃないですか!レベルまだ上がってもないのにこんなに高ステータスってなんですか!チーターですよチーター」


先程までの態度とは裏腹に今度はすごいはしゃいでいる。


「これってどれくらい強いの?」


「うーん。それは、まあ、向こうの世界に行ってのお楽しみってことで!それではこれから転移の儀式を行いますね!転移先は一応王都の付近の森の中にしておきますので!それではあなたの第二の人生に幸多からんことをお祈りしておりますよー!」


「えっ、ちょっ!まだなんの説明もっ!?」


どんどん遠のいていく意識の中で、俺は思った。

次の人生では。

出来る限り省エネをしよう。









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