第五話・再会の衝撃
一部修正いたしました。(_△_)細かいところです
はぁっ…はぁっ…
広場に着いたころには、ラカは倒れそうになっていた。港町の広さを身をもって感じたからだ。無駄に広い、とラカは思い、眉根を寄せる。
後は、話された通りだった。
人が輪をつくって中心の一点を見ている。何事か囁いてはいるのだが、誰も近づこうとはしなかった。
そしてその周辺は―美しい広場の面影すらなかった。周辺の木々は折れ、噴水の石は崩れ、さらには平和の象徴であるエンジェリックストーンと呼ばれる少女の像が、粉砕されていた。
(やっぱり。イスターの魔法だ)
そう確信したラカは、人込みを掻き分けてひたすら中央を目指した。
そこに見えたのは―そこで何事も無かったかのように寝ているのは、紛れも無くイスターだった。額にかかる金髪が、風を受けて揺れていて、まるで時を超えたかのように、安心しきった子供っぽい顔だった。
(イスター…。ほんとに懐かしい寝顔)
そこでラカの疑問が頭の中でなり響いた。
(今までどこに行ってたの?戦争は5年も前に終わっているのに)
(イスター・アルーディ・カーミュラ!!)
感慨にふけるラカが間近にいるとは露知らず、彼は目を覚ました―
(何て言えばいいんだろう)
そして、また寝た。ラカの心に風が吹きぬけた瞬間だった。
「・・・」
周りの人の視線が痛かった。間違いなくでしゃばりだと思われているのだろう。
顔が赤くなるのが自分でも分かった。今すぐここから立ち去りたい気持ちと、イスターをひっぱたきたい気持ちが互角だった。
彼は一度寝てしまえば、蹴飛ばそうが突き落とそうが3時間は絶対に起きない。唯一つの手を除いては。
サラッ
周りの観客にはイスターの反射神経がいかに良いかわかった。サラッのさの字が聞こえるか聞こえないかのうちに、ラカの出したものはイスターの手にあった。
そして、一瞬起きた彼がまた意識を閉ざそうとする直前、ラカがそれを思い切り引っ張った。ぽん、という音を立てて青のりのびんのふたが外れた。
「ッ?!…にすんだ!」イスターがぱっと目を開いた。
その声にラカの手の力が緩んだ。彼の声はラカの記憶の中より高く、響かなかった。まるで女の子だ。
「イスター?」放心したような自分の声。
その力ない問いかけに、イスターの目の焦点があった。次の言葉はラカの心を打ちのめすには充分な効果があった。
「ほえ?あんた、誰?」