迷宮都市リグラント
sideリカンド
商人リカンドは目の前の光景を信じられないでいた。
護衛の冒険者達が盗賊達に倒され殺されるのを覚悟したその時、突如森の中から現れた青年が盗賊の1人を吹き飛ばしその武器を奪いその身一つで盗賊達を斬り裂いたのだった。
その青年はただ一人残った盗賊の頭領に此方を指差しながら何かをいい、自棄になった頭領が武器を握り直し青年に襲いかかったが青年に軽くあしらわれその首を掴まれた。
その光景を見て私は助けてもらった青年に対して恐れを抱いていたようで少し震えていた
青年はそのまま此方に近づいてきてわたしにこう問うた。
「こいつをどうする?」と、
その時私は盗賊達に対しての怒りを思い出しこう答えた。
「殺してくれないか」と、
それに対して分かったと言ったと青年が言った途端盗賊の体が痩せ細り生き絶えた。
それを見た私は青年に対して本能的な恐怖を抱いてしまった。
side out
これはどうすればいいのだろうか。
周りに広がるのは自分が殺した盗賊達の血により一面染まった地面。
そして護衛らしき人の死体、そして返り血を浴びて真っ赤に染まった自分がいた。
本気でどうしようか困っていた時先程質問した商人が話しかけてきた。
「助けてもらいありがとうございました。私はリグラントの商人リカンドと申します。宜しければお名前をお聞きしても宜しいでしょうか?」
「相馬、いや紅 相馬です。悲鳴が聞こえてきたので助けに来ましたが間に合ったようで良かったです。」
「コウ殿は冒険者でございますか?」
「いえ、ただの旅人ですよ。」
へぇやっぱ冒険者ってあるんだな、やっぱり異世界へ来たんだ冒険者にならないとな。
「それならば宜しければ私共と一緒にリグラントへ来ていただけませんか。街に着いたらこの度のお礼をしたいのですが?それに私共は見た通り丁度今護衛を失った所なので街に着くまでの護衛をしていただけませんか、勿論お礼とは別に今死んでしまった護衛の冒険者達に払う筈だった報酬も差し上げます。」
「そういうことならば是非ご一緒させて下さい。実は私も、今その、リグラントに向かっていた所なんですよ。」
どうやらこれでやっと飯が食べれそうだ。
「お引き受け頂いて有難う御座います。しかし紅殿その姿は少し刺激的過ぎると思いますどうかこれでその血を拭いていただけませんか?」
そういえば今俺は返り血で血まみれだったんだな
「これは失礼しました。」
俺はリカンドの差し出した布を受け取り血を拭いた。
「それではリグラントへ向かいましょうか、どうぞ紅殿、馬車にお乗りください。」
そして俺は馬車に乗りリカンド商会と共にリグラントへと向かった。
その夜、リカンドにこの世界の常識を少し教えて貰った。
まずこの国の通貨は「ジル」と言い銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、閃貨に分けられるらしい、日本円に直すとこんな感じだ。
銅貨→100円
大銅貨→1000円
銀貨→10000円
大銀貨→100000円
金貨→1000000円
大金貨→10000000円
閃貨→100000000円
と、なっているそうだ。
そしてリグラントは迷宮都市と呼ばれておりその名の通り迷宮から出る利益によって成り立っているらしい。リカルドさんたちが運んでいたのも迷宮から見つかった物だと言っていた、ちなみに迷宮とは突如現れる層状になっている広い洞窟のようなもので、そこには魔物が住み最下層にはダンジョンコアと呼ばれるものがあるらしい。魔物はこのような森などにもいるが迷宮はその比では無いらしい
それから3日が経ち俺は迷宮都市リグラントへと到着した。いまは門の前での検問中だ俺は身分証明する物がなかったがリカルドさんに盗賊との戦闘の際落としたと言って何とか入れてもらった。リカルドさんがいて何とかならもし1人で来ていたらどうなっていたんだろうか?そこはリカルドさんに心の中で感謝しておいた。
そして今リグラントへ入った、そこはまるで中世のヨーロッパの街のような所でバロック様式の家々が並ぶ姿はとても美しかった。
その日はもう暗くなってきていた為、俺はリカルドさんが用意した部屋で明日からの生活に期待を抱いて眠るのであった。