六話
出会ったのは、四人の来訪者であった。
壮年の男性。
生涯の半ばに差し掛かろうかと言う男性。
男性よりも二回り程若い女性。
粗末な杖を手に癒しの光を扱っていた。
未だ成人を迎えぬであろう少年。
木刀を手に。
淀みの獣と相対していた。
さらに小さき少年。
三方を囲まれ震えていた。
淀みの獣の数は多い。
不慣れな三人が幼児を庇いつつ生き残ることはできない。
童子は淀みの獣を塵に還した。
永い時は童子に神のごとき力を与えていた。
四人に連れられ童子は異界の者達と邂逅した。
其処は暗がりの杜。
邪な想いが形を成し。
杜の霊を狂わせ獣となる場所。
※※※※
時は経ち。
異界の民が来訪書として受け入れられた頃。
童子は名実ともに一柱の神となった。
そして童子の悲しみは始まる。
天上の八つの光。
かつて空席だったその枠に童子は収まっていた。
八つの光は来訪者を疎んだ。
曰くー
ー彼等の暴虐は目に余る
来訪者の一部は原生の民を奴隷のごとく扱った。
童子は彼らを庇った。
何彼等が過ちに気付くと信じて。
…その願いは、最後まで届かない。
八つの光が最早見過ごせぬと動こうとしたとき。
それは起きた。
童子は最早彼らをかばうことはできなかった。
童子は何時しか愛を見失っていた。
神としての責務は心ある童子に全うできるものではなかった。
僅かずつ。
長き時をかけて童子のうちに積もったそれは。
一つの事件を切っ掛けに。
決壊した。
もっとも最初に邂逅した来訪者。
そのうちの一人が同じ来訪者の手で命を奪われた。
童子の手により事なきを得たが。
その魂が負った傷は。
けして小さな物ではなかった。
童子は決意した。
来訪者の力を奪いもとの世界へ返すと。
それは。
八つの光の意思に反し。
九つの淀みを蔑ろにした。
…世界を織り成したものの意思でもあった。
童子はすべての来訪者の命を奪った。
そうして力を奪った後に。
異世界へと帰還させた。
最後に残った来訪者は。
嘗て共に旅をし。
獲物を分かち合い。
笑い。
泣いて。
命を預かり。
心を預けた者達だった。
長く凄惨な闘争の末。
友達の命を奪った童子の命は潰えかけていた。
童子の周辺を原生の民が囲う。
その瞳にあるのは明らかな敵意。
失意の末に。
童子の意識は世界を織り成した者の腕の中で潰えた。
それが、童子の終わり。
救いもなく。
唯ひたすらあわれな童子の物語。
十年と僅な時。
嘗て童子が救った原生の民。
その一人が。
童子に願った。
再開を。
と。
物語は開ける。
哀れで救われぬ童子の物語。
その再開となるか。
それとも…
なんかお気に入り登録少し増えてるんですが。
激減してると思ったのですが…
こんなでも待っていてくれるならと思い、頑張りました。
誤字の指摘があればお願いします。
感想あると更新多くなるかも…かも!(重要なのでry)しれません。
というか嬉しいのでモチベ上がります。
不定期ですが気が向いたらまた投稿します。