AAの狼煙1
俺はただ朝飯を買いに行くという社会的にも真っ当な理由のために人気のない路地裏を歩いていたんだけど、その路地裏がいつのまにか俺とは正反対の非社会的な連中の溜まり場と化していたんだ。
見れば十代の餓鬼共がやれ煙草だのやれビールだの、しまいにはやれ薬だのいい散らかしてたから俺は社会のお手本として叱ってやった。本当はおまわりさんの役目なんだろうけど忙しいそうだからここはこの俺が肌を脱いでやるなんて考えていたわけたが、都会=平和と思っていた俺からするとスパスパしてる子供とか歯ぼろぼろになって笑ってる奴とか見ると俺の都会=平和の方程式が崩れ去って行くんだよ。まったく。つまりこいつらは
チンピラってわけですな。そんなわけで
俺は喧嘩で負けてしまっている血だらだら少年に気持ちばかりの絆創膏と気持ちばかりの善意の塊を与えてやった。
そんな男の中の男、善人の中の善人であるこの俺に、なんとこの路地裏グループのリーダーはこう言ったんだ。
「ここは中学生が来るところじゃねーぞ」
「おじさんは中学生じゃないぞ。二十歳だぞう。」
別に冗談を言ったつもりはないがドッと歓声が狭くさい路地裏に…うるせぇ。
「あはは…まぁいい。というわけで金だせや。」