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タマキとカレンの異世界色々事件ノート  作者: bunz0u
クロスオーバー編
8/67

歪みから生まれる存在

「さて、あいつは何をやってくるんだろうな」


 タマキは腰に手を当てて空を見上げていた。雲と同化したものはますます広がっていて、あたりは薄暗くなってきている。


「こちらからしかけましょうか」

「そうだな、黙っていることもない。とりあえず、一発食らわせてみるか」


 タマキは火の玉を出し、それを雲に向かって投げつけた。だが、何も起こらない。


「飲み込んだか。大食いなんだな」

「そのようですね。今度は向こうから来そうですよ」


 雲は光を発すると、タマキが撃ち込んだものの倍のサイズの火の玉を吐き出した。タマキはそれに動じず、引き付けてから手をかざした。


「バースト!」


 爆発が火の玉をかき消した。


「いきます」


 カレンが眼鏡を外してそれをベルトに引っ掛けると、髪と目と剣が白銀に染まり、さらに身に着けた鎧が漆黒に染まる。そして白銀の翼を広げると一気に上昇して雲に突っ込んでいった。


 カレンの突撃に雲は一部だけ切り裂かれるが、それはすぐに塞がってしまう。しかし、カレンは今度は上から雲を切り裂き、タマキの横に降り立った。


「手ごたえがありません。少し広がりすぎていますね」

「じゃあ、まとめないと駄目だな。そっちは俺がやるから止めは頼む」

「はい」


 タマキはマントを漆黒に染め、飛び上がった。そして、いまだに広がり続ける雲の周囲に自らの魔力で壁を作っていく。そしてそれが完成すると、タマキは手を振り上げ、握った。


「反転!」


 魔法で作られた壁が一気に収縮を始める。それに押され、雲は一箇所にまとまっていく。そこに上昇してきたカレンが剣を振り下ろした。


 今度はしっかりとした手応えがあり、凝縮した雲が真っ二つになった。だが、それは二つに別れたまま、それぞれがさらに凝縮すると、足が生えて蜘蛛のような形になった。それは二体同時にタマキとカレンに飛びかかる。


「実体を持ちましたか」

「そうらしいな」


 カレンとタマキはそれぞれその蜘蛛を片手で止めると、地面に急降下して叩きつけた。しかし、それと同時に蜘蛛は人間三人分ほどの高さまで巨大化して二人を押しのける。


「これは、決まりですかね」


 オーラはつぶやき、さらに後ろに下がっていった。そして、タマキとカレンはそれぞれの相手に向かい合った。


「カレン、すぐ終わらせられそうか?」

「どうでしょうか。まだどのようなものかわかりませんので、なんとも言えません」

「どうかな、たぶんそっちのほうが相性はいいんじゃないか」

「それなら、張り切っていきます」


 まずはカレンが動き、蜘蛛に向かって正面から剣を振り下ろす。だが、蜘蛛は素早く後ろに下がってそれをかわすと、すぐに大きく跳躍した。


 だが、カレンはそれを読んでいたように、すぐに上昇してそれを追い、足の一本に剣を振るった。蜘蛛の足はあっさりと切断されるが、本体がひるむ様子はなく、カレンに顎を向けて食いつこうとする。


 カレンはそれをかるくかわし、蜘蛛の頭に踵を落として地面に叩き落とした。


「私も新しい力を試してみましょうか」


 カレンは剣を鞘に収め、左手を腰のあたりで構えると、そこに光が集中していった。


「シャイニング!」


 そしてカレンの身体は地面の蜘蛛に向かって急降下していく。


「バースト!」


 インパクトの瞬間光が炸裂し、蜘蛛を飲み込み、その姿を消し飛ばしていた。タマキはそれを横目で見てにやりと笑う。


「いい技だな。俺も負けてらんないか」


 そうつぶやくタマキに、蜘蛛が飛びかかってきた。


「ライトニングブレード!」


 タマキは雷の刃を右手にまとうと、蜘蛛と交錯した。その一撃で蜘蛛の左足を全て切り落とす。


「いくぞサモン!」

「ああ」


 それからマントを手に取ると、それはドリルのような形状になった。タマキはそれで蜘蛛をあっさりと串刺しにした。


「ダーク! バースト!」


 串刺しにした中心から漆黒のドリルが蜘蛛ごと弾け飛んだ。


 タマキとカレンは普通の状態に戻り、それぞれ蜘蛛が消し飛んだ跡を確認する。そこに特に変わったところはなかったが、むき出しの大地に見た目の変化はない。


「これはどうすればいいんだろうな」

「私達では対応できそうにないですね」


 そこに、後ろに下がっていたオーラがやってきて口を開く。


「こういうことでしたらヨウイチさんがなんとかできると思います。それより、先ほどの技はすごいものでしたね。あれがあなた達の本気でしょうか?」

「いいや」


 タマキは首を横に振った。


「まだ奥の手はある、よな」


 話を振られ、カレンは静かにうなずく。


「はい。私とタマキさんの力を合わせれば、もっと大きな可能性があります」

「なるほど、それはそのうち是非見せて頂きたいものです。では、とりあえず一度戻ってヨウイチさんを連れてきましょうか」

「それがいいか。あいつは特別な力を持ってるみたいだし」

「そうですね。あの方の力というのにも興味があります」


 カレンがそう言って眼鏡をかけると、それを合図としたように三人は町に戻り始めた。

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