三人でお買い物と夕食
タマキとカレン、佐織の三人は近所のスーパーマーケットに来ていた。カレンは興味深そうに棚を見回している。
「珍しい?」
佐織が聞くと、カレンはうなずいた。
「ええ、向こうの世界ではこんな清潔で整然としている食料を扱っている店はありませんから、面白いですね」
「まあ、余裕はあるからゆっくり見て行こうじゃない」
「俺も久しぶりだし、そうしたいな」
タマキもうなずき、かごを目の前で振った。
「じゃあ、今日はあんたが荷物持ちだからよろしく」
「了解」
それから三人はスーパーの中を歩き始めた。まずは野菜売場。
「どれも似ていますが、違いますね」
「品種改良の度合いの違いじゃないか。原型は大体一緒だと思うけど」
「確かにそうですね」
カレンはニンジンとジャガイモを手にとってしげしげと見つめてうなずいた。
「どれも形が整っていますし、サイズも大きいです。きちんと選別されているんですね」
カレンはそれからその二つを元の場所に戻した。
「そう、それにこんなふうにパックもされてる」
佐織はしめじとえのきを買い物かごに放り込んだ。
「さて、次はあっちかな」
三人は移動し、佐織は今度は白菜と長ネギをかごに放り込んだ。
「これは、鍋かな」
「ああ、わかった」
タマキの一言に佐織は相槌をうった。
「じゃあ、鶏肉いってみようか」
そして肉売場。カレンはパックされた肉を見て感心したような顔をしていた。
「こうして、あらかじめ切られているんですね。それにさっきの野菜売場もですけど、保存のためにわざわざ冷やしているとは」
「冷凍品もあるから、あとでそっちも見ようか」
佐織は鶏のもも肉と手羽元をかごに入れた。
「水炊きか。あっちの世界でもたまに作ったよ」
「へえ、あんたも料理してたんだ。カレンにばっかりやらせていたんだと思ってた」
「俺もけっこうやってたよ、昔と同じようにさ。だからカレンも水炊きとか知ってるよ」
「そっか、初めてじゃないのは残念。まあ私のほうがこいつよりうまいから」
「はい、楽しみです」
「いやあ、いいねえ」
佐織はそう言うと、満面の笑みを浮かべてカレンの肩に手を置いた。
「あたしはこういう妹が欲しかった。いいねえ、弟、いい人をつかまえたじゃないか」
「まあ、俺もそう思うよ」
タマキがそう言うと佐織は瞬時につまらなそうな顔になった。
「ちっ、生意気な。ほら、さっさと買い物済ませるよ」
そうして会計を済ませて、三人は家路についた。
「さて、準備はあたしがするから、二人ともあっちで待ってな」
「ああ」
「はい」
台所から居間に移動した二人は隣り合ってテーブルについた。
「どうだった、実際に見てみた印象は?」
「一言で言えば、華やかで明るいですね。話や記憶で知ってはいましたが、まさか実際にここまでとは想像していませんでした」
「まあ、そうだよな。俺だってカレンの世界に行った時は色々驚いたし」
「それほどには見えませんでしたよ」
「いや、精一杯驚いてたよ。まあ最初からカレンがいてくれたからな」
タマキの言葉にカレンは微笑んだ。しかし、そこに勢いよくガスコンロが置かれる。
「はい、いちゃつくな」
「違うって」
「はいはい」
佐織はすぐに台所に戻ると、続いてガス缶と野菜を乗せたザルを持ってきた。
「火をつけんのはコンロだけ」
タマキは無言でガス缶をコンロにセットした。さらにそこに佐織が手羽元が入った鍋を持ってきてその上に置いた。
「ほら、火をつけて」
「了解」
タマキがガスコンロに火をつけてしばらくすると、佐織は野菜をどさどさ入れ始めた。
「さてと」
佐織は再び台所に行って缶ビール二缶とコップ三つを持ってきた。そしてビールをそれぞれのコップに注ぐとタマキとカレンに手渡した。
「じゃあ、あんたの久々の帰宅と、カレンの歓迎会ということで、乾杯!」
「かんぱーい」
「乾杯」
タマキはやる気なさそうに、カレンは自然に佐織のコップと自分のコップをかるくぶつけた。佐織はぐっと一息でビールを飲み干す。
「ふー。ほらあんた達も」
「いただきます」
カレンも同じように一気にビールを飲む。佐織はうなずくと空いたコップにビールを注いだ。
「いい飲みっぷりだ。ほら、そっちも飲みな」
「じゃあ」
タマキもビールを一口飲んだ。




