KnowHow5 様々な状況に対応する
運転手は誰かからの依頼を受けて行動するため、基本的に自分で時と場合を選ぶことができない。
暑い時期や寒い時期に依頼されることもある。
晴天の時や悪天候の時もある。
朝7時過ぎからやることもあれば、夜9時過ぎにやることもある。
そんな時、運転手に求められることは、いかなる条件であっても冷静に、そして安全に運転をすることだ。
そのためには、その日の運転前に何がありそうなのかを予測しておくことが大事だ。
夏が苦手な僕にとって、暑い日の運転ははっきり言って大変だ。
特に、車置き場には屋根がない場合にはもっと大変だ。
車が日なたに置かれていると、乗り込んだ時にはすでに内部が暑くなっていることが多い。
そんな中では僕自身も運転することが大変だし、同乗者にも失礼になってしまう。
だから運転をする前にあらかじめ車に乗り込んで窓を開けておくか、カーエアコンを入れておくといったような配慮が必要だ。
とはいえ、僕は本来あまりエアコンを好まないタイプだ。
夏場にプライベートで運転する時には窓を開けて、エアコンを入れずに運転することにしている。
だが、同乗者の中には夏はエアコンを入れて過ごすのが当たり前という人もいる。
それ故に、僕はできることならエアコンをつけたくない。つけたとしても27~28℃にしたいと主張する一方、同乗者は22℃というように、意見が分かれてしまうこともある。
こういう場合にはなるべく同乗者の意見に従うことにしている。
僕にとっては寒いと言いたくなるくらい涼しい上に、エアコンの冷風が体に当たるので、やりにくい条件が重なるが、これも運転手の宿命と割り切ることにしている。
また、暑い日にはなるべく日陰に車を駐車するように心がけることも大事だ。
日陰がないような場所に駐車する場合ならば同乗者が戻ってくるまでの間、カーエアコンをつけて待つしかない。
しかしエンジンを止めたままカーエアコンをつけていたのでは、バッテリーがあがってしまう心配もある。
だからこそ、僕は日陰を好んで駐車している。
(この体験が「DAWN」の第7話「入院」の中で、病院の駐車場に車を止めるシーンに反映されています。)
同乗者にとっては少し歩く距離が長くなって不便かもしれないが、そこは配慮してもらっている。
上記のようなことは冬にも当てはまる。
寒い日には事前に暖房を入れて、車内を暖めておく必要がある。
ただ、エンジンが暖まらないと温風が出ないので、あらかじめそれを考慮に入れておくことが必要だ。
運転中も、暖房の温度をめぐって同乗者と意見が分かれることもありうるが、そこは割り切って考えることにしている。
(僕の経験では、「夏=エアコン」の生活を送る人は、大抵「冬=暖房」の生活をしていることが多いので、事前に予想がついてしまうこともあります。)
車の運転をする日には、晴天の日もあれば雨天の日もある。
晴天の日の場合は、西日などに注意すればいいくらいで、運転はやりやすい方だ。
だが、雨の日の場合には、注意しなければならないことが多くなる。
その代表的なことと言えば、道路の水たまりと僕は考えている。
僕自身、雨の日には水たまりをなるべく通らないように運転し、通らざるを得ない場合にはスピードを落とすことを心がけている。
というのも、水たまりの水を歩行者や自転車に乗っている人達にかけてしまったら大変だからだ。
僕自身、雨の日に道を歩いていて(または自転車をこいでいて)、車に水をかけられてしまうことを何度も経験した。
一方、車は何も言わずに走り去ってしまうので、まるで通り魔のようだった。
経験したことがある人ならば、この時どのような気持ちになるかは容易に想像できるだろう。
だからこそ、僕は自分が通り魔にならないように気をつけている。
他にも、雨の日はフロントガラスの雨やワイパーなどで集中力が落ちるし、ブレーキがかかってから止まるまでの距離(制動距離)が長くなる。
だからいつもよりスピードを落として運転するなどの対策を取らなければならない。
とにかく、雨の日の運転は難易度が上がる。運転手はそのようなことを考慮するだけのスキルが必要だ。
運転手が気を使うのは気温や天候だけではない。時間帯にも気を使うことが必要だ。
僕の経験では、早い場合には朝6時半に家を出て、朝7時から同乗者を乗せて運転手をつとめたことがある。
(例:選挙期間中に朝7時から駅前でお辞儀をする場合など)
一方で、夜の9~10時頃に運転手をつとめたこともある。
(例:選挙期間中の個人演説会や、飲み会に参加した人のお迎えなど)
朝早い時間や、夜遅い時間に誰かを乗せて運転することは大変なことだ。
僕の場合、いくら朝早くても朝食は欠かさずに摂ることにしている。
そしてカフェイン入りの飲み物(大抵の場合コーヒー)を飲んでしっかりと目を覚ましてから外出することを心がけている。
ただ、トイレが近くなるので、同乗者を降ろしている間によくお手洗いに行くことになるのだが。
一方で、夜の時間は朝と比べて少々面倒だ。
すでに疲れた体で運転することになるため、朝と比べて集中力を保つのが難しい。
まして雨が降っている日の夜の運転は、難易度がさらに上がる。
しかし僕の場合、夜8時以降にカフェインの入った飲み物を飲むと、夜眠れなくなる傾向があるため、コーヒーなどを飲むわけにはいかない。
だから、眠気に襲われても我慢しながら運転していることが多い。
運転手は基本的には季節や天候、時間帯などを理由に、役目を断るようなことは許されない。
だからこそ、どんな条件であっても事故を起こさないように車を運転するスキルが求められる。
大変な時もあるが、その中でいかに最善を尽くせるようになれるかが大切なことだ。
そしてそのような体験が自分の本業の仕事や日常生活の中で励みになっている。
さらには、他人から必要とされているという喜びにもなっている。
だからこそ、僕は運転手の役割を長い間続けてこられたし、これからも依頼があれば進んで引き受けたいと考えている。




