KnowHow3 事前の道調べが大事
運転手は車を運転している時だけが仕事ではない。
目的地に着くまでの道筋を事前に調べておくことも仕事だと僕は考えている。
すでに行ったことがあり、道筋などをすでにしっかりと把握できていれば問題はない。
しかし、まだ行ったことのない場所や、ずっと前に一度行っただけで、行き方をよく覚えていない場所に行かなければならないことも多々ある。
そのためには事前に道筋を詳しく調べて、本番までにしっかりとそれを把握しておかなければならない。
もし本番で道に迷ってしまうようなことがあれば最悪だ。
僕自身も、そのようなことを経験したことがある。
幸い、その時はイベントでスピーチを控えていた同乗者の人が道を教えてくれたおかげで、事なきを得た。
だが、結果的に運転手交代を命じられ、同乗者の人が運転をすることになった。
僕自身、腹わたが煮えくり返るほどの屈辱を味わった。
それでも、このまま運転したら同乗者を不安にさせることは目に見えているし、事故の起きる可能性を高くしてしまう。
もし本当に事故を起こしてしまったら、取り返しのつかない代償を背負ってしまうかもしれない。
その日の失敗を取り返すチャンスをもらえなかったことは悔しいが、そこで気持ちを爆発させては信用を落とし、次から起用してもらえなくなるかもしれない。
結局その時にできることは、後部座席に座りながら、必死に冷静さを保ち続けることだけだった。
そうならないためにも、事前の準備は大切なことだ。
僕自身、これが運転手としての仕事の半分近くを占めているのではないかと考えている。
僕はこれまで目的地までの道筋を調べるために、ゼンリンの住宅地図を多用してきた。
あらかじめ一枚の真っ白な紙を用意し、住宅地図を見ながらシャーペンで道筋を書いていき、道路地図を作るというやり方だ。
信号のある交差点の部分では、交差点の名前を書き込んだ。
信号のない交差点で曲がらなければならない場合には、近くにある建物やバス停の名前を書き込んだりした。
道というものは千差万別だ。広い道もあれば大型車の通りにくい細い道もある。
右折しやすい道や、右折しにくい道もある。
時には団地など複雑に入り組んだ道もある。
一方通行の道もある。
交差点でもT字路(丁字路)のように見えて実はY字路のような形だったり、5つ(時には6つ)の道路が交差していて、曲がりにくい交差点だったりすることもある。
それらを考慮しながら紙に線を引いていき、道路地図の形に仕上げていった。
はっきり言って地道な、そして時間を要する作業だった。
気がついたら3時間経過していたということもある。
しかし、道がつながっただけではまだ十分とは言い切れない。
大きな国道になると信号が多いし、時間帯(特に夕方)によっては渋滞が生じる可能性もある。
同乗者をできるだけ早く目的地に連れていきたい運転手にとって、度重なる赤信号と渋滞は大敵だ。
できることなら避けなければならない。
そのために、予備の道(例:国道と並行してはしるわき道や、川の堤防沿いの道など)も時間があれば調べておく必要がある。
そして、実際にその道を通ったこともある。
とにかく自分で道を調べておけば、最初から自信を持って運転に取り組んでいくことができる。
それに、いざという時(道路が混んでいる時や急にスケジュール変更が生じた時など)でも冷静に対処ができる。
そのため、事前の道調べは本当に大事な作業だったし、それによって無事に役目を果たせた時の達成感は大きかった。
なお、今の車にはカーナビが取り付けられているものが多い。
もちろん、そのカーナビの地図のお世話になったことはある。
しかし、それを考慮したとしても、事前に自分で道を調べておくことは大事なことだ。
というのも、車によってはカーナビがついていなかったり、ナビの地図が古かったりするからだ。
(僕の所有しているハイブリッドカーの場合、10年以上前の地図が載っているので、あまり当てにしていない場合が多いです。)
それに、途中でスケジュール変更が生じたり、渋滞回避のために予備の道を通る場合にはナビがあまり役に立たなくなってしまうし、画面に注目して前方不注意になってしまっては本末転倒だ。
僕にとってはカーナビが発展したとしても、やはり自分で道を調べておくことが大事だと思っている。
この考え方はこれからも変わることはないだろう。




