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誕生日。来るはずのない人からのメッセージ。

掲載日:2026/04/25

誕生日、来るはずのない人からのメッセージ。

彼女は過去に引き戻された時、どのような答えを出すのか。

LINEの通知が鳴った。


何気なくスマホを取りだし、私は仰天した。

そこには、あるはずのない名前が記されていた。目を擦り凝視するが現実は変わらない。


「誕生日おめでとう。これ少しだけど。」


そう書かれた文面に、コーヒーショップのギフトカードが繋がれていた。


あぁ、こんなこともあるのだなと思った。

私は駅のタクシー乗り場に停まる車へ乗り込んだ。

家の住所を伝えると、車は走り出す。

郊外の街の灯りを眺めながら、今日のことを思い出す。


久しぶりに帰省した私に学生時代の友人が、誕生日だからと夕食に誘ってくれた。飲み屋を転々としながら、くだらない話をしていたら、こんな時間になってしまった。


携帯で友人にお礼のメールを送り、

既読のつかないように、先程のメッセージを見る。


「あの日はごめん」


と8年前に送られてきたメッセージに続く今日の日付。


彼と出会ったのは17歳の時。

高校2年のクラス替えで、同じクラスになったのが最初だ。


彼はルックスがよく、明るく、誰とでも分け隔てなく接するクラスの中心人物だった。

そんな彼と私が接点などあるわけがなく、時間は目まぐるしく過ぎていった。


ある日、いつものように図書館の自習室でテスト勉強をしていると、彼が入ってきた。

さすがに顔見知りだったからか、彼が無視できるはずもなく


「こんにちは七海さん。いつもここ使ってるの?」


そう声をかけてきた。

いつものように、穏やかな太陽のようなオーラを放つ彼に、形容し難い罪悪感にも似た感情を持ったことを、今でも覚えている。


それから何度もその自習室で会い、付き合うまでそう時間はかからなかった。


彼にとっては、私のような目立たず特に欠点もない人間は、都合が良かったのだろう。


一緒にいる時もいつも他愛もない話をしながら、一緒に下校し勉強した。

毎日会っているのだからと、デートというようなことはしないでいいと言ったのは、彼だった。


そんなちょうど8年前。

私は付き合って初めてのイベント。

誕生日に期待を寄せていた。

いつも私にも他の人にも、同じように接し優しい彼が、少しでも私を特別扱いしてくれると、そう思っていたのだ。


彼は私の誕生日を忘れていた。


いつものように一緒に下校し、自習室に寄った。その帰りに公園に寄り、自販機の前で彼の袖を握り、足を止めた。自販機の明かりに照らされた、彼の黒く透き通った瞳を見つめた。

だが、今日がその日だと言えなかった。


そして家に着いた。


もう別れよう。


そう決意し、彼にメッセージを送り、私たちの関係は終わった。


そんなどこにでもあるような青春が、今では少し切なく暖かく感じ、酔った涙腺を刺激する。

私はこのメッセージに、何を返すのだろう。

この8年間、私の記憶の中で密かに疼いていた、この感情に答えを出す時が来たのだ。


「私の方こそごめん。ありがとう」


そうメッセージを送った。

青春ですねぇ。

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