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詩集

砂に消えた指環

作者: ロースト

[トパーズ 11月の誕生石(友情・潔白・友愛・希望)]

別名→『太陽の石』『黄玉』

ギリシャ語→『捜し求めて』の意味を持つ言葉トパゾスが語源の石。

サンスグリットインド→『火』『生命のエネルギー』『心』の意味を持つ言葉タパスが語源の石。

※タパス→知恵を授ける・活力・思考能力を高める

ブラジル→『水滴』の意味を持つ言葉ピンゴ・ダゴアが語源の石。

エジプト→『太陽神・ラー』のシンボル

キリスト教→正義・真愛・神愛・友情・温情・節制

[パワーストーン]

意味→調和・共感・心の傷を癒す・宇宙との共和

[トパーズの宝石]

意味→直感・喜び・社交性・人間関係・感情的すれ違い

[インペリアル・トパーズ(トパーズの一種)]

別名→健康の石・皇帝

意味→友情・希望・貞節・幸福

効果→若さと美しさを保つ

[ブルートパーズ]

意味→冷静さ・分析能力・直感


砂の指輪


二人の少年と目前、サファイアの海。

時季は夏。でも暑くはない。心は逆に寒いくらいだ。

でも、僕は寒さも暑さも感じない。

いつからだろう。

夏の暑さから冬の寒さに変わったのは。夏と冬の意味が互いに入れ替わったのは。

ううん、本当はわかってる。いつ変わったのかなんて、至極簡単。

ある日を境にガラッと、今までのことなんてまるで嘘だったかのように世界が、すべてが変わった。

無感動に、無衝動に、ただ、寂しいぐらい寒い。

寒さなんて感じないはずなのに、心が寒いと感じてしまう。寂しいぐらいに乾き、飢えている。


突然それは起こった。

いや、その表現は正しくないのだろう。緩やかにでも確実に前兆は起こっていた。

徐々に、じわじわと。真綿で首を絞められているのにも気付かず、自分で自分の首を絞めているのにも関わらず。

逆にそれを増長するように行動する。

真綿が体中に絡みついていても気付かない。まだ気付かない。

人は最期まで気付かなかった。だからこんな結果になった。人類滅亡という結果にね。


……バカだよね、人間って。

え?なんかキャラ変わってないかって?そんなの気のせい、気のせい。

で―、他に質問はありませんかー。

やる気なさそうって、見りゃわかるだろ。実際にやる気ないんだよ。

っと、質問。しつもん。って、何故だって?

今説明したじゃんか。聞いてなかったの?だからなぜ人類滅亡したのかというと―――。

え?そういうことじゃない?じゃあ何さ。言いたいことがあるんなら言えよ。

大体さー、お前はいっつもいっっっっつも―――。

と話が微妙―にずれてたけど、質問なんだっけ?ああ、そうだった。僕は誰かというと、

ひ・み・つ。

だって、ばらしちゃ意味ないっしょ。

それにお前もう死ぬし?だから知らなくてもよくね?

ま、そんな小さい事はどうでもいいから、次は何?抗議だったら受け付けないよー。

はいはい、俺がなぜ生きているのか?

そんなの決まってんじゃん。

―――俺が真綿を絞めていた張本人だからさ。


あっそうそう、言い忘れてたけど……真打登場!!もう退場だけどね。

じゃ、ばいばい。

……なんだよ。返してもくれないの?


って、もう聞えてないんだっけ。

じゃあ、返さなくてもいいから恨まないでね~。

っととと、これも聞えてないはずだから意味ないかぁ。一応、アーメン。

ま、殺した本人がやってもしょうがないと思うけどぉ。

そうそう、君にこれをあげるよ。手向けの花とでも思って。僕の大事な、大事な親友さんへvv


たまには、来るからさ。……もしかしたら来ないかもだけど。




後に残されたのはトパーズの埋め込まれている十字架のネックレスと、去っていった少年の足跡、倒れている少年。

その少年の頬に彼のものではない涙。そしてそれも砂吹雪に掻き消され、何も残らない。


今ではもうこの地球(ほし)に生きるのは一人だけ。

去っていった少年。親友の血でその手を汚した少年。

親友を想い、悲しみ、悼む少年。過去を振り返り、前に進めない少年。

自分の片割れといっても過言ではない程の、かけがえのない親友を失った少年。

それは哀しい運命(さだめ)

少年はこの地球の意思だから、親友を殺さなくてはならなかった。

地球をこれ以上壊さないよう一人残らずいなくならなくてはいけなかった。

キズはまだ塞がらない。また塞がる事は二度とない。

少年の姿が揺らぐ。そして掻き消える。

少年は地球(ほし)の意志だから、消えた。意味を果たしたから。


トパーズの十字架の意味を知る者はもういない。

最後まで軽い口調を通した笑顔の少年。地球の意思であり、代弁者。

しかし、その心中を涙が如実に表していた。

強がることしか出来なかった少年はそうして風景に溶けていったのだ。


この地球(ほし)には何もなくなった。どの生物も、どの命もない。

あるのは生命(いのち)の消えた海と乾ききって何もかもが崩れ、砂に、砂漠になってしまった土。

虚しいばかりの平穏が広がっていた。海だけが地球(ほし)が生きてる証明だった。

砂と、サファイアの海と、地球(ほし)だけがただ、何かを待つように生きていた。

ただ、待つように、静かに呼吸(いき)をしていた。

ただただ、行く末を見守るだけ。ただただ、波の音と、砂の吹かれる音がするだけ。


涙のあとが残る砂漠に十字架が転がっていた。

それが哀しい過去そのすべてを語るかのように、一つ―――


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