第4話 準備完了、エルディアへ
転生前の準備編はこのお話で終わりです。次回からエルディアに場面が変わります。
「あともう一つ固有スキルというものがあるのじゃが、これは転生してからでないと確認が出来んのじゃ」
固有スキルというのはその人の前世の魂を基にして発現するスキルらしいのだが、人の一生を形にしたものなだけあってかなり癖のある能力になることが多いらしい。固有スキルはその性質上確認出来ないだけで誰でも一つ持っているらしいが、それを開放して使いこなせるようになるのはほんの一握りの人間だけなんだとか。
エルディアの最新の研究では、前世と今世の相性が悪いと開放するのが難しくなるのではないかという結論が出ているらしく、神様たちが言うにはそれで間違いないらしい。
「まあお前さんの場合は前世の記憶、つまり全く同じ人格を保有したまま転生するのでな。まず間違いなく固有スキルが発現するじゃろう。前世も今世も同一人物なんじゃから相性が悪いわけがないのじゃ」
「それに前世との相性がいいほど発現する固有スキルを使いこなしやくすなりますからね。恐らくユウカさんは、固有スキルの能力を他の誰よりも効率よく発揮出来るようになんじゃないかと思います」
「しかし固有スキルはその性質上、癖のある能力になりやすいのじゃ。いくら相性がいいからといって、なんの努力もせんでいいわけではないぞい?」
「望むところです!」
私の固有スキルってどんな能力なのかな!今から待ち遠しいな!
「あとはワシの加護も与えておこうかのう」
「加護……ですか?」
さっき聞いた知識の中には無かったな。
「加護というのはのう、我々神が気に入ったものに与える力でな、ちょっとしたいいことがあるぞい。ワシは創造を司っておるから物作りなんかで役に立つかもしんれんのう。あとは神以外にも精霊や龍族などの一部の上位種族の中でも、長い年月を生きたりした特に力のある個体なら他人に加護を与えることが出来るのじゃ」
お守りみたいな感じかな?
「そうなんですか。ありがたく頂きます」
そう言うとガイオス様の手元に光の球が現れた。ゆっくり近づいてきたと思ったらそのまま私の胸の中に入ってきた。なんだかあったかい感じがする。
「まあ加護くらいであれば渡す側には影響はないからのう。中にはお気に入りの証としてぽんぽん加護を渡すやつもおるのじゃ」
ガイオス様が「そういえばワシが加護を与えたのはいつ以来じゃったかのう……」なんて言ってる。かなり前のことで覚えていないらしい。
すると、アイリス様がなにかを決意したような顔で話を切り出した。
「おじいちゃん、わたしはユウカさんに祝福を授けようと思うの」
「……アイリスや、お前は祝福を授けることの意味を理解しておるのか?」
「分かってる。でもわたしはそれでユウカさんに何かを強要するつもりはないよ」
ガイオス様とアイリス様が祝福というものを授けることについて話し合っている。加護とはまた違うのかな?。
「あのう、祝福っていうのはなんですか?」
そういうと二人がこちらを見て祝福について説明してくれた。
「祝福というのはな、加護以上の力を授けたものに与える一種の契約のようなものなんじゃ」
「わたしはまだまだ未熟ですし神としての役職にも就いていないので、加護を与えてもほとんどユウカさんの力になれません。なので加護ではなく祝福を授けようと思ったんです」
「女神が他者に祝福を授ける場合は他にも意味があるんじゃが──」
「おじいちゃん?」
「分かった分かった。もう何も言わんわい」
祝福は加護の上位互換ってことらしい、他にどういった意味があるのか気になったけど、アイリス様は聞いても教えてくれなさそうだ。
アイリス様の祝福と聞いて、思わず私までうっかり屋になったりしないかなんて思考がよぎったのはアイリス様には内緒だ。ガイオス様には読まれていると思うけどね。
「それではユウカさん、祝福を授けますのでこちらへお願いします」
祝福の授け方は加護の時とは違うらしい。私は椅子から立ち上がりアイリス様の方へ向かうと、アイリス様も立ち上がって私と向かい合った。
どうするんだろうと思ったら、アイリス様が私の顔に両手を添えて額にキスをしてくれた。その瞬間、私とアイリス様の間に見えない繋がりが出来たような不思議な感覚がした。あと、私の方が少し背が高いからちょっと背伸びになっていた。可愛い。
すぐに離れたけどそのときにアイリス様の顔を見たら頬を真っ赤に染めていた。多分私もそうなっていると思う。口ではなくおでこにされたとはいえ流石にこれは恥ずかしい。アイリス様ほどの美少女が相手ならなおさらだ。
私が内心の気恥ずかしさを誤魔化しているとアイリス様の方はもう立ち直ったのか、まだ若干顔を赤らめてはいたがガイオス様に話しかけていた。
「おじいちゃん、これでユウカさんの転生前の準備は終わりだよね?」
「うむ、そうじゃのう。初々しくてよかったわい」
「おじいちゃん!」
「ほほほ、冗談じゃよ」
茶化さないで欲しい。こっちまで恥ずかしくなってくる。
「さて、再度になるのじゃが今回のことは本当にすまんかったのう。微力ながらお前さんの人生に幸あらんことを願っておるのじゃ」
「わたしも出来る限りのサポートはしますし、普段はエルディアに住んでいるのでいつかは向こうでお会いできるかもしれません!わたしの住んでいる場所に訪れるのは大変だと思いますが、わたしたちには祝福の繋がりがあるので、たまに夢という形でお会いすることは可能だと思います!」
神様たちが口々にそう言うと、ガイオス様が手を振ることで光で出来た扉のようなものが現れた。これを潜れば私のエルディアでの第二の人生が始まるらしい。
アイリス様には夢で会えるらしいけど、出来ればちゃんと現実でお会いしたいし、アイリス様の住んでいるところを目指すこともエルディアでの目標の一つに加えておこうかな。
「こちらこそ手厚くサポートして頂きありがとうございました!それじゃあ行ってきます!」
そう言って私は神様たちに頭を下げてお礼を言うと、勢いよく光の扉を潜ったのだった。
2026/03/24
・第6話の変更に伴い一部のセリフを修正しました。




