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第1話 プロローグ_私が死んだ理由

 初めまして。小説はずっと読み専だったのですが、ある日自分好みの百合小説を書きたいと思い立ってほとんどノープランでこの物語を書き始めました。

一応予定では、かなりの長編になりそうなのですが書き始める以上エタらせるつもりはありません。

 日中は社会人として働きながらの創作なので更新ペースは安定しないと思います。筆の進みも遅い方です。

 小説を書くのはこれが初めてで執筆には慣れていないので拙い部分もあるかとは思いますが、良ければ私の作品を楽しんで頂けると幸いです。

「……………か…」


 深い水底に眠っていた意識が少しずつ浮上していく。


「…こえ……か…」


 休日に目覚ましのアラームをセットせずに12時間以上寝た時の、脳が覚醒しきっていない微睡みの淵にいる時のような感覚。


「きこえ…すか?」


 おかしいな、最後の記憶ではまだ平日のど真ん中だったし、高校の授業が終わった後に放課後バイト先で閉店作業まで働いて自宅へ帰る道の途中のはずだったと思うんだけど。


「大丈…かな?おじ…ちゃん」


 まさか連日の限界を超えたバイトの疲労のせいでアラームをかけ忘れたままベットに入って、そのまま寝過ごした上に寝る前の記憶が数時間飛んだりでもしたのかな。やばい、だとしたら早く起きないと。今まで寝坊なんてしたことなかったのに。


「傷ついた…の処置は問題無いはずじゃ、直に目を覚ま…じゃろう」


 取り留めもない思考を垂れ流していた脳が急速に覚醒していく。


 ──っていうかさっきから誰かの声が聞こえる気がするんだけど、一人暮らしの家に自分以外の人が居る訳がないし、ここどこ?まさか家に帰り付く前に倒れて病院に運ばれたとか?とにかく起きよう。


「そろそろでしょうか?」


「うむ、もう目覚めそうじゃの」


 そうして目を開けた先には。


「あ、起きました」


 思わず目を見張る程の美少女と。


「気分はどうじゃ?」


 好々爺然としたお爺さんの姿があった。


「……え、誰?」


「神じゃよ」


「神です!」


 神らしい。


「はぁ……神…ですか…」


 私は状況が分からず周りを見渡してみる、お爺さんと女の子と私が立っている以外は何もない辺り一面真っ白な、若干霞がかった世界が広がっている。


「まあ、とにかく座りなさい。説明をせねばならんのでな」


 そう言って神を自称するお爺さんが手を振ると、私たちが立っているすぐ横の何もない場所にいきなりテーブルと椅子が現れた。なるほど、夢か。


「夢ではないぞ、あと一応言うておくが神は自称ではなく本物の神なのじゃ。それもこの辺りの世界を管理する神々を束ねる最高神なんぞやっておる」


 思考を読まれた?口に出さないでも考えていることを分かってもらえるなんてすごい便利じゃない?楽できるし、いやでも流石にそれは失礼かな、最高神様らしいし、普通に会話しよう、うん。


「随分と落ち着いておるのう、普通ここまで異常な状況に直面したら少しは取り乱すと思うのじゃが…」


「なんといますか、あまりにも現実味がないものでして…」


「そういうもんかのう?」


 そう言うとおじい…神様と女神様が椅子に座った。私も座るように促されたので一応座る前に一礼してから対面の椅子に腰掛けた。何だろう、神様相手に三者面談を受けるようなことやらかしたっけ、これでも犯罪を犯すこともなく精一杯生きていたと思うんだけどな。


「お前さんはなんも悪いことはしとらんぞ、むしろやらかしたのはこちら側じゃ」


「え?」


 神様が申し訳なさそうにそう言う。隣に座っている女神様なんか物凄く落ち込んでるんだけど。なんで?


「まず、最初に伝えておくとお主は死んでしもうた。ここは所謂あの世というやつじゃな」


「……え?」


 私の口から二度同じ言葉が漏れた。それぞれに込められた感情は別物だったが。まあでも正直なんとなくそんな気はしてたよ?じゃないと神様なんて出てこないだろうし。でもなんでわざわざ?


「私って死んだんですか……。死因は何だったんでしょう?覚えている限りだと確かアルバイトの帰りだったと思うんですけど、疲労で周囲の確認が疎かになって車道に飛び出した挙句トラックに轢かれたとかですかね?」


「いや、違うぞい」


 違うらしい。まあ、そうだよね。こう言っては何だが交通事故で亡くなってしまうなんて今の時代珍しくもない。まさか事故の被害者が出る度にわざわざ最高神様が出てくるほど暇なんてことはないだろうし。


「お主の死因なんじゃがの……」


 どうしたんだろう、言いずらいことなのかな。よっぽど恥ずかしい死に方したとか?流石にそれは嫌だなぁ、場合によっては死にたくなるかもしれない。あ、もう死んでるんだっけ。ははは。


「ワシらが不心得者などを裁く時などに使う神罰の雷がお主に直撃してしまっての、流石に生身の人間に耐えられるようなものではないからの、本来は滅多なことでは使われることはないのじゃが……」


「えっ?なんでそんなものが!?、やっぱり私なんかとんでもないことをやっちゃったんじゃないんですか!?」


 神罰の雷なんて名前からして凄そうなものを受けるなんてよっぽどのことだろう、一体私は何をしたんだ……


 私が思わず頭を抱えていると、神様の隣に座っていた女神様が急に立ち上がった。どうしたんだろう?さっきまでずっと会話に入ってこずに、神様の隣で思いつめた表情で項垂れていたのに。神様と話していると女神様も視界に入るから正直ずっと気になってたんだよね。あ、こっちに来た。


「いや、お主は本当に何も悪くはないのじゃ、全てこちら側の過失でな、はっきり言うてしまえば神雷をお主に降らせたのはそやつなんじゃよ」


「え?」


 え?この子が私に?何で?


「そやつがお主の世界を覗き見しておる時にの、くしゃみをしおってのう、その拍子にうっかり操作を誤って神雷を直撃させおった」


「はぁ!?」


 思わず私がその子の方へと振り向くと。


「この度はわたしのくしゃみのせいで貴女様の大切な命を奪ってしまい大変申し訳ございませんでしたあああぁぁぁ―――ッ!!!」


 そう言いながら流れるような動きで私に向けて土下座で謝罪してきた。思わず教科書のお手本になるのではないかと思ってしまうくらいそれはもう見事な土下座だった。


「うちの孫が本当にすまんかったのじゃ」


 神様の方も椅子に座りながらではあるが、膝に手を着いて頭を下げてくれた。いや、貴方最高神様なんじゃないんですか?そんなに簡単に頭を下げてもいいんだろうか。


「こ”め”ん”な”さ”い”―――!!!」


 女神様の方は泣きが入った声で謝っている。いや、待ってこの子本当に泣いてない?泣きたいのはこっちの方なんだけど…。


 私は思わず自分の頬を引っ張る。痛い、どうやら現実らしい。夢であって欲しかった。


 それにしても私の死因ってくしゃみなんだ………そっか…くしゃみ……ね………そっかぁ……。


「あ—………」


 私って恥ずかしい死に方をしたんじゃなくて、相手にとって恥ずかしい殺し方をされたってことね。そりゃあくしゃみで死人が出るとか、普通ありえないし。自分のことだけどもう笑うしかないわ。


「ははは……はあぁぁぁ…」


 たった数分のことなのになんかすっごい疲れた。

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