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幸せの青い鳥は手に入れるといつも灰色  作者: はまゆう


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第1話 真実の愛に出会った男

翔平は40歳の誕生日を過ぎて3ヶ月目に、29歳の里奈を正式に妻にした。

離婚調停は3回で決着がつき、慰謝料800万円+年間養育費144万円(小5の息子1人分)を15年間払い続ける契約書にサインした瞬間、彼は「これで自由だ」と呟いた。

隣で里奈が「やっと二人だけの人生だね♡」と頬を寄せてきた。翔平は頷きながら、心の中で計算機を叩いていた。

800万+144万×15年=2960万円。

まあ、29歳の新妻と毎晩できるなら悪くない投資だろ、と。

引っ越し先は横浜の築18年、2LDK、家賃14.8万円。

里奈は「南向きで明るいね!」と喜んだが、翔平は毎月振り込まれる給与明細を見ながら気づいた。

手取りから養育費と慰謝料の天引き後、残る可処分所得は……23万円弱。

家賃14.8万、光熱費2万、食費6万、里奈の美容代・服代で軽く5万。

残りマイナス4.8万円。

「大丈夫、ボーナスで調整すれば……」と翔平は自分に言い聞かせた。

里奈は妊娠した。

「おめでとう!やっと家族ができたね!」と里奈は泣きながら抱きついてきた。

翔平は笑顔で頷きながら、頭の中でまた電卓を叩いた。

産休中の収入減、産後は当分里奈の収入ゼロ、子供の保育園代、ミルク、オムツ、児童手当は月1.5万程度。

……詰んだ。

1年後。

翔平は深夜のコンビニで弁当を温めながら、元妻からのLINEを開いた。

元妻「息子のサッカー大会、優勝したよ。写真送るね」

添付されていたのは、息子がトロフィーを持ち、隣で元妻と新しい彼氏(見た目30代後半、爽やかイケメン)が満面の笑みでピースしている写真。

背景には新築の一戸建てらしき家。

キャプション:「新しいパパと一緒に応援してくれたよ」

翔平は温め終わった弁当を袋に入れ、コンビニのイートインコーナーで一人座った。

スマホの画面には、里奈からの着信が7件。

「ご飯まだ? お腹すいたよぉ~」

「牛乳買い忘れてるよ」

「明日の保育園のお迎えお願いね」

「あ、そうだ、来月ネイルするから3万貸して」

「今夜、ゴミ出しの日だよ」

翔平は通知を全部既読スルーにして、弁当の蓋を開けた。

冷めたハンバーグと、半分溶けたポテトサラダ。

箸でつつきながら、ぽつりと呟いた。

「……あー、なるほど。

これが本気の愛で手に入れた日常か」

外では雨が降り始めていた。

翔平は弁当を半分残して蓋をし、

「まあいいか。

少なくとも俺は現実から逃げなかったもんな」

と自分に言い聞かせながら、

楽天で買ったルームウェアを着て髪がボサボサのノーメイクの妻が待つ14.8万円の家賃の生活感丸出しの2LDKへと足を向けた。


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