オブリラ解放戦
オブリラの惨状は、ジエスが思っていた以上に深刻なものだった。
「よりにもよって、巣食っていやがる…」
戦地の奥におよそ十数メートル程の大きさの繭状の構造体が見て取れる。
戦場には『巣』と呼ばれる、『首』を守る為に戦場に築かれる魔物たちの砦が成形されていた。
その周りは大小多くの魔物たちに溢れ、外敵の侵攻を防いでいる。
「巨攻型まで…」
ケティアの視線の先、魔物の群れの中に数体、数メートルに及ぶ一際大きな人型の『首』までも見て取れる。王国軍相手に前線に陣取り、軍勢のオブリラへの進行を塞いでいた。
「ここで半年とか、何人犠牲になってんだよ…」
考えただけで身の毛がよだつ。この悲惨な戦場に、どれだけの兵士たちが投入されたのだろうか…
「横から突っ切っても、相手の物量で逃げ場が無くなる。王国軍に切先に立ってから、先陣を切って正面から巨攻まで突っ込む。オブリラへの道を開くのが最優先だ」
「了解です。先鋒は任せてください」
「巨攻を取り次第、巣の『首』を討つ」
ジエスに、ケティアはこくりと頷いた。
「アイエルは今回は野戦療院へ。この様子じゃ、そっちも酷い有様だろう…」
「うん、行ってきます」
アイエルはそう言うと本営の野戦療院へと脱兎の如く駆け出した。
一行は、大柄なジエスとユービスを先頭に兵士たちの中をかき分けて行く。
そのさなかにも、多くの兵士の屍が戦場の中に見て取れた。
苦々しく横目に見ながら、ユービスとジエスは兵士たちの中を足を速めた。
兵士たちをかき分け、王国軍の先頭へと進み出ると、ユービスの投擲で、ケティアは宙へと舞う。
「行くわよ!!エーシエちゃん!!」
「はいっ!!ファイアランスっ!!」
ケティアはエーシエの炎の槍をそのまま弾き飛ばすと、魔物たちの軍勢の中に轟音と共に火柱が上がった。
軍勢を先鋒を切って、金の獅子たちは巨攻型までの道を切り開いていった。




