王国との因縁
かつて、この大陸は4つの大国が統治し、4国それぞれ互助関係を構築していた時代があった。
「魔国」古来より魔法大系の探求を国是とし、国民から多くの魔法使いを輩出してきた。
「魔法国ワスターユ」
「教国」教会の教えを司り、教会公認治癒士たちの承認や医療院施設の統括行ってきた。
「教皇国コンデリア」
「王国」強大な軍事力を備え、王国軍を多くの戦場への派兵、魔物たちの討伐を担ってきた。
「レティエル王国」
「商国」商人ギルド、商隊たちが興した南方諸島郡や、都市郡の交易を管理してきた。
「ラハラン共和国」
だが、魔国ワスターユと教国コンデリアは魔物たちの侵攻により陥落し、今はレティエル王国と、商国ラハランの2国残すのみとなっていた。
「アイエル、かつて滅んだ2国については、学校では習ったか?」
焚き火に薪をくべ、ジエスはアイエルに問いかける。
「うん、魔国は62年前、教国は12年前に魔物の侵攻を受けたって、授業で習ったよ」
その言葉に、ジエスは当時を思い、虚空を睨みつける。
「王国との因縁ってのはな、12年前、教国が魔物に襲われた際に、王国は教国の救援の要請を突っぱねたのさ」
「えっ!?なんでそんな事!?」
「当時の王女殿下、現国王の姉君の領国への輿入れがあったのさ。王国軍は教国の救援を後回しにして、こちらを優先させた」
ジエスの瞳に怒りと悲しみが入り交じる。あの時の自分の無力さ、やるせなさが押し寄せ、ぶるりと身を震わせた。
「教国ってのは、ユテナ川のほとりにあったんだが、魔物たちの侵攻によって、上流にあったダム湖までが決壊されちまった。結果、教国は戦禍のさいちゅうに街ごと水に沈んだ」
アイエルは息を飲み、言葉を無くした。
「俺たちが駆けつけた時、もうコンデリアは水の底だった。俺が知る、多くの傭兵たちも洪水に巻き込まれ、命を落とした。」
「そんな…」
語られる事実に、アイエルは青ざめた。
「アイエル、俺は王国軍なんてのは大っ嫌いだがな、軍の上にふんぞり返ってる王族ってのは、もっと嫌いなんでな。今回は王国軍の為だけの戦いじゃねぇ」
ジエスは、いつものように、アイエルの頭をポンポンと撫でる。だが、その目はいつもの優しい瞳ではなく、遠い戦場を見つめる険しい瞳だった。
「誰だろうが関係なく、1人でも多くの命を救う為の『首盗み』だ」
団長の堅い決意にアイエルは深くも頷いた。




