翡翠色の少年
掃討戦を終えて、村の中の魔物たちの気配は無い事を確かめると、ケティア一行はようやく生存者の確認を始めた。
生存が確認出来たのは今の時点で28人。
今は生存者たち全員が、教会に身を寄せていた。
ケティアとユービスは、他に生存者が居ないか、外での捜索を続けている。
教会には救護のアイエルと、護衛にエーシエが残っていた。
教会の中は何人もの泣き声と呻き声の中、アイエルの初級回復術法の淡い緑色の光が明滅している。
――これ、全員は助からないな…
アイエルは術法の一方で、周りを冷静に見回す。
アイエルの見立てたところ、運び込まれた人の内の5人は、手の施しようがない程の重症を負っていた。
――この人たちは、申し訳ないけど…
アイエルがそう思い、別の負傷者に取り掛かろうとした時、入口の方から、不意に声がした。
「あの…見捨てるんですか?」
聞こえてきた言葉に図星を刺され、アイエルはギクリと固まった。
治癒士として、冷静に現状を判断し、助けられる命を優先する事は間違っていない。
だが、それを冷酷だと非難する声は、いつだって治癒士のジレンマとなっていた。
「僕なら、救えます…」
声のした入口の方を見ると、幼い少年の姿があった。その少年が手をかざすと、その手のひらからは回復術法の光が現れる。
そして、少年はその緑色の光を、そのまま宙へと放った。
その光は、アイエルの初級回復術法とは比べ物にならないほど明るく輝く光だった。
回復術法の光が、5人のうちで1番重篤だった負傷者の傷をみるみるうちに癒していく。
――回復術法を、飛ばした!?
回復術法は治癒士の手元でしか、相手の傷や毒を癒す事は出来ない。
治癒士のアイエルですら、回復術を飛ばせるなんて話は、聞いた事が無かった。
しかも、少年が使ったのは特級回復術法。
教会の公認回復術師の最高等級、金の星の2の中でも使える者は数える程しかいない、高度な術法だった。
少年は、更に次々と4つの光を飛ばし、アイエルが手に負えなかった負傷者たちを、その光で癒して見せた。
目の前で起こっている事に、アイエルとエーシエは戸惑いの色を隠せなかった。
「貴方、一体…」
「僕の名前はイアール、イアール・エンデアといいます」
驚きに目を丸くするアイエルに、イアールはゆっくりおずおずと答える。
特徴的な翡翠色の髪に、金色の瞳。
イアールは依頼書にあった、魔物に攫われたという行方不明の少年によく似ていた。
申し訳ございません。
この話から、物語に大きな矛盾と破綻がありましたので、ここから大幅な内容変更になっております。
今まで続けて読んで下さった方、本当に申し訳ございません。
今後、このような事の無いように、精進いたします。
これからも、本作をよろしくお願いいたします。




