もう1つの矛と盾
エーシエは、ケティアの言葉の意味が、一瞬飲み込めずにいた。
だが、聞き違いかと思った束の間、ケティアの更なる催促が飛ぶ。
「早く、私を狙って!!」
聞き間違いでは無かった。ケティアは確かに自分を撃てと言っている。
「いいから、早く!!」
ケティアは、建物の屋根や柱、通りの軒先や街灯にチェーンフレイルを引っかけ、持ち前の俊敏な動きで『首』の周りを間合いスレスレに攪乱しながら縦横無尽に移動し続けている。
「いきますよ!!ファイアランス!!」
そんなケティアに狙いを澄まし、エーシエは意を決して、炎の槍を撃ち込む。
ケティアは左手のバックラーで、エーシエの放った炎の槍を『首』へと向けて弾き飛ばした。
その一撃は、先程と同じように尾撃によって弾かれるが、そこでようやくエーシエはケティアの意図に気づく。
――…そうか!!この方法なら!!
動き回るケティアを狙い、エーシエはありったけの炎の槍の連続で放つ。
ケティアは、その全てを『首』向けて弾き飛ばす。
チェーンフレイルを使い、村の中を森の中のように、縦に横に文字通り縦横無尽に動き回れるケティアの『高速移動』
その動き回るケティアを狙い撃てる、ドルーネンでの修練で会得したエーシエの『精密射撃』
そして、ドルーネンの修練の時に見せた、ケティアのもう1つの技。
ジエスとアイエルのスレスレを狙える程に、 狙った場所へと確実に魔法を弾き飛ばす事が出来る、バックラーでの『反射防御』
「もっと、早くっ!!」
「はいっ!!ファイアランスっ!!」
ケティアは動き回りながら、エーシエが連射した炎の槍の全てを、『首』に向けて弾き飛ばす。
その弾道はケティアの動きと同様に、縦横無尽に、多方向から首を襲いかかる。
ケティアのバックラーと、エーシエの炎の槍による、『多方向からの連続射撃』
『首』は尾撃で応戦するも、その複雑な弾道を追い切る事が出来ず、遂には炎の槍の1本が『首』の体へと突き刺さり、爆散した。
断末魔が上げるよりも先に、その一撃に続けざま、『首』の体には何本もの炎の槍が突き刺さり、次々と爆炎が散っていく。
爆炎の中で、『首』が息絶えるのを確認すると、ケティアは即座に3人に指示を飛ばす。
「すぐに住民たちをっ!!1人でも多く救うわよっ!!」




