朝のひと騒動
ビシデは、ドンドンドンっと、勢いよく玄関を叩きつけるノックの音で目を覚ます。
――なんだい、随分と騒がしいね…
ビシデは、眠気まなこで玄関を開くと、血相を変えたアイエルの姿があった。
「おばさん!!ママもお兄ちゃんも家に居ないの!!」
今にも泣き出しそうなアイエル。
ビシデの頭から、眠気が一気に引いていく。
――あのバカっ!!
「着いておいで」
アイエルの様子に、事の次第を飲み込んだビシデは、短くそう言うとアイエルを部屋へと招き入れた。
「ママっ!!」
「…ん…あれ?アイエル、どうしたの?」
テーブルで寝こけていたケティアは、いきなり縋りついてきたアイエルに、眠たそうにぼんやりと目をこする。
そして、次の瞬間、起きたての眠気は一気に吹き飛ばされる。
ビシデのゲンコツの鉄槌が、ケティアの頭に落とされる。
「…いったぁっ!!…いきなりなにすんのよ!!」
「うっさい!!アイエルに、置き手紙くらいしてから来な!!バカタレが!!」
――…はっ!?
ケティアは、アイエルに何も伝えていなかった事に、ようやく気がつく…
それと共に、サァっと顔から血の気が引いていく。
目の前では、アイエルは真っ赤になって、涙目で頬を膨らませていた。
「…ママのバカバカバカぁっ!!」
「ごめん!!アイエル!!本当にごめんね!!」
その日は1日、拗ねたアイエルのご機嫌を治すのに、必死に謝り倒すケティアなのだった。




