愛した記憶
ケティアがようやく我が家に帰ると、ユービスはまだ曇り顔で、テーブルに着いていた。
おそらく、寝付けないのだろう。
湯気もすっかりと消えた、冷めたマグカップをずっと眺めていた。
母はそんな息子の肩を、ポンと叩く。
「エーシエちゃんと、話しておいで、ユービス」
そう言って、ユービスの顔をグイっと玄関に向ける。
――っ!!
誰よりも愛しい人が、そこに立っていた。
ユービスが勢い良く立ち上がるのを見届けると、ケティアは満足そうに自室に戻った。
――やっぱり、羨ましいな…
ケティアの独り言にもならないような呟き。
ユービスとエーシエが仲のいい事は本当に嬉しいのだが、どうしても羨望が胸に疼くのも確かだった。
――キュエム…
ケティアも愛する人の名前を呼び、愛する人の事を思う。
ケティアは大好きな日記の、その綺麗な表紙を愛おしく撫でると、そのページをめくる。
その胸に去来するのは、亡き夫、キュエム・ライトマンとの記憶の数々。
思い出が、ケティアの胸の痛みを癒して、そしてまたチクリと疼く。
窓からは、赤い月の光が差し込み、部屋を薄紅色に染めていた。
ここまでを、第1部とさせていただきます。
ここまで、読んでくださり、本当にありがとうございます。
拙い文章が多いので、添削、加筆、修正等は行いますが、情報の追加などはせず、描写の細かな表現や、要らない表現の整理に留めますので、ご安心下さい。
ご感想(特に応援の声)は、とても制作のモチベになります。
皆様のお声をお待ちしております。




