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気にしてるんですからね?
先程とは比べ物にならない程に、精度と威力の格段に上がったエーシエの放つ炎の槍。だが、ケティアはその全てをバックラーで弾き飛ばす。
その様子を、感嘆の表情でジエスは眺めていた。
「流石はケティアだな、あんだけの攻撃を顔色1つ変えねぇもんな」
母が褒められて、鼻高々な娘。
「ママのバックラーは、パパの特別製だもん」
確かに、バックラーは強力なケティアのアドバンテージになっている。
しかし、それだけではあれだけの防御力は説明が付かない。
どれだけの猛攻をも見極める並外れた動体視力、喧騒の中からも音を聞き分ける聴力、魔物たちの群れの中からの違和感を決して逃さない洞察力。
さらに、小回りの効く小さな体つき、鍛え抜かれた俊敏な動きとバランス感覚。
それが、ケティアの本当の強さだった。
「まさに、鉄壁の守りってやつだ…うおっ!?」
言いかけたジエスの目の前を、ケティアが弾いた炎の槍がかすめていった。
そんなジエスに、アイエルはコソッと耳打ちをする。
「ママに『壁』って言っちゃダメだよ、ぺったんこなの、気にしてるんだから…きゃあっ!?」
ケティアが弾いた炎の槍は、今度はアイエルの目の前をかすめていく。
「団長〜アイエル〜聞こえてるよ〜?」
「はい…ごめんなさい…」
ジエスとアイエルの震えた声が重なった。




