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金の獅子団長

角笛の音色が響いてから暫く経ち、黄昏時になっても、兵士たちの声は止まず、熱狂を帯びたまま、 掃討戦は今も続けられていた。

それも当然だ。

開戦からずっと、兵士たちはこの時を待っていたのだ。


魔物たちは、その身の中に魔石と呼ばれる特殊な鉱石を宿している。

ある物は火や風を操り、ある物は水を浄化し、ある物は光を照らしたり等、魔石には様々な種類が存在し、そこに宿る魔力や用途も実に多岐に渡る。

魔石からもたらされる恩恵は、今や人々の暮らしの中で、決して欠かせない物になっていた。


つまり、魔石は金になる。


掃討戦は、戦闘の最後に起こる魔石狩りの時間。

戦線を支えていた兵士たちにとって、ずっと苦しめられた魔物たちを討伐出来るのと共に、ようやく訪れた稼ぎ時というわけだ。


その兵士たちの喧騒の中を、ケティアとユービスの親子は悠々とこちらへと歩いてきた。

ケティアの顔はニコニコと上機嫌で、今回の成果がいかに上々だったかを物語っている。

対照的にユービスの顔は、はしゃぐ母の姿にやれやれといった様子でつまらなさそうな表情を浮かべていた。


「団長、もどりましたよ〜♪」

「おう、お疲れさん。今回は随分と上物だったみてぇだな」

見事な体躯に黄銅色の甲冑を着込んだヘビーアーマーの大男は、片手を挙げて街の前でケティアたちを笑顔で出迎えた。


大男の名は、ジエス・エルモンド。

「首盗み」と揶揄される程の常勝を誇る傭兵団、金の獅子団の団長である。


「ユービス、お前もご苦労さん」

「いや、苦労もなにも、これくらい余裕っしょ」

その反抗期丸出しの言葉に、ユービスの頭には、またケティアのチョップが入る。


「くーちーのーきーきーかーたっ!!なってないですよ!!団長がせっかく、お疲れ様って言ってくれてるでしょう!!」

「あー…もう、ガキ扱いすんなっての!!」


「結構!!結構!!その調子で次も期待してるぞ!!」

生意気な口をきく息子に、手を焼く母親。

そんな2人の様子を、ジエスはガッハッハと豪快に笑い飛ばした。


我が子に愛のヘッドロックを決めたまま、ケティアはキョロキョロともう1人の愛する我が子の姿を探す。

「アイエルはまだ戻ってないですか?」

「ああ、まだテントの方に治癒の手伝いに行ってるな。迎えに行ってやったらどうだ?」

「そうですね、ユービスも行くよ」

「え?俺も?」

「当たり前です!!お兄ちゃんなんだから!!」


「その間に、飯は手配しといてやるから、ユービスも行ってこい。これは団長命令だ」

「うへぇ…」

理不尽な団長命令にうなだれるユービスの姿に、ジエスはまたガッハッハと豪快に笑うと、街の方へと歩いて行った。


「ほらほら、行くよ、テントまで競走!!はい、よーいドン!!」

そう言って、ケティアはテントへと駆け出す。


「なっ!?オカン!!ずるいぞ!!」

先駆けしたケティアを追いかけて、ユービスも野戦療院のテントに向けて駆け出した。

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