着せ替え遊び
自信満々に現れたユービスに、女子(?)3人は言葉を失う。
袖が明るいライトグリーンで、背中に大きくロゴとマークの入っているゆったりした白と緑のジャンパー、白のVネックのインナーTシャツ、下は茶色のややスキニーなレザーパンツ。
スラッと高い背丈と、ガッシリとした体格に、その格好はダサい訳ではない…
けして、ダサい訳ではないのだが…
――いや、派手だな!?
3人の心の声が重なる。
そのコーディネートがユービスの明るい色のロングの金髪に合わさると、とてつもなく派手な印象になる。
口火を切ったのは、アイエルだった。
「えー、派手すぎないかな?」
そう言うと、メンズコーナーをゴソゴソと物色し始める。自分のコーディネートに自信満々の様子で、兄にチョイスした服を手渡す。
「これにしてみて〜♪絶対似合うから」
手渡された服に着替えると、ユービスは試着室のカーテンを開けた。
「これ?いいのか?」
柄付きの開襟ワイシャツに、黒いジャケット、下はチャコールグレーのスラックス。
そこにユービスの、足の長いスタイルと、風になびいてキラキラと輝く金髪。それはまるで…
――いや、夜の街で1番人気になっちゃうやつ!!
ケティアとエーシエの心の声が重なる。
男性給仕そのまんまなアイエルのチョイス。
このままでは、息子がドルーネンの歓楽街でその美貌でのし上がっていく、愛憎渦巻く別のストーリーが始まってしまう!!
息子が多くの浮名を流しそうな予感に、母は大慌てで、次の服を探し始める。
しばらくして娘同様に、ケティアは自信満々でユービスに自分のチョイスしたコーディネートを手渡す。
「ユービスには、こういうのが似合うと思うよ」
手渡された服に着替えると、シャっというカーテンの音と共にユービスが姿を現す。
「これ、どうなんだよ?」
白のフリル付きブラウスに、薄い茶色のベスト、そこにモスグリーンのジャケット、下は明るいグレーのスラックス。整った容貌と相まって、それはまるで…
――いや、上流階級すぎじゃないっ!?
アイエルとエーシエの心の声が重なる。
貴族の普段着そのまんまといったケティアのチョイス。
このままでは、お忍び貴族と町娘の身分違いの秘められた思いに悩む、違うラブストーリーが始まってしまう!!
歪められそうな自分の恋路に、今度はエーシエが慌てて服を選び始める。
エーシエも2人同様、自信満々で自分チョイスのコーディネートを手渡す。
「これがいいと思うよ、ユービス君お願い」
やれやれと着替えるユービス。
着替えが終わると、カーテンが風に揺れて、ユービスが姿を現す。
「これ、似合ってるのかよ?」
明るめのグレーのタートルネックセーター、茶色のソフトレザージャケットに、白のデニムパンツ。ブラウンの落ち着いた瞳の色と相まって、それはまるで…
――いや、無難!!
ケティアとアイエルの心の声が重なる。
特筆するべき物が何も無い、無難すぎるエーシエのチョイス。
このままでは、ユービスとエーシエが2人で穏やかに歩んでいく、心暖まるラブストーリーが始まってしまう!!
――…いや、それで良いのでは?
またもケティアとアイエルの心の声が重なる。
結果、エーシエのコーディネートが採用と相成った。
息子の、兄の、恋人の、楽しい着せ替え遊びに満足気な女子(?)3人に、ユービスは疲労困憊の色を隠せなかった。
「んじゃ、そろそろ帰ろうぜ…」
その言葉に…
ケティアはあらあら、と
アイエルはあっけらかん、と
エーシエはもじもじ、と
「次は、下着だから…」
――いや、まだ買い物続くのかよ!?
ユービスと店員の心の声が重なる。
結局、女性陣の下着選びの間、外で待たされる疲労困憊な荷物持ち君なのだった。




