その理由
――…なんだろう…眩しいな。
「…ーシエっ!!エーシエっ!!」
――…ユービス君が…呼んでる?
遠くから聞こえてきた、愛する人の呼び声に、エーシエはゆっくりと目を開いた。
途端、眩しい光が目に刺さる。ぼんやりとした視界が、ようやく輪郭を取り戻していく。
その瞳には、緑の光の向こうに愛する人の顔が映る。
「エーシエっ!!分かるかっ!!」
「お姉ちゃんっ!!」
エーシエは、次第にハッキリしていく思考と記憶に、最後に見た光景が浮かぶと、今自分が置かれている状況をだんだんと把握していく。
――ユービス君…アイエルちゃん…?そっか、私…
エーシエは体を起こそうしたが、よろけて、また倒れ込む。手に力が入らなかった。力が入らないというより、むしろ…
「エーシエ!!」
「お姉ちゃん、まだダメ!!」
エーシエは、ようやくそこで自分の痛みに気づく。そして…
――あ…
エーシエは左手を上げる。
そこにあるはずの左手が、そこに無かった。
その手を引きちぎられた血塗れの左腕が、そこにあるだけだった。
――あ…っ!!
その事実に、エーシエの目から、とめどなく涙が流れ落ちる。
「ユービス君…」
だが、それは…
「ごめん、なさい…腕輪、無くしちゃったぁ…」
そう言った途端、エーシエは声を上げて泣きじゃくった。
――…っ!?
「…ごめんなさいっ!!ごめんなさいっ!!」
そう言って泣きじゃくるエーシエ。
ユービスは居てもたってもいられずに、その体を抱きしめて…
キスで強引に、その口を塞ぐ。
そのまま泣きじゃくるエーシエを抱きしめたまま、ユービスはぐちゃぐちゃの感情の中…
どうしようもない愛しさに、ようやく言葉を絞り出す。
「生きててくれて…ありがとう…」
戦場の中で、2人の涙は1つの流れになった。




