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退路へ

ケティアの振るうチェーンフレイルが、魔物たちを薙ぎ払う音がこちらへと近づいてくる。

魔物の群れの向こうにケティアを見つけると、ジエスは自分への怒りで奥歯を噛み締めた。


ケティアの後ろにあったのは、ユービスに抱えられている、血に塗れたエーシエの姿だった。


魔物たちを薙ぎ払う中、魔物の群れの向こうに、ケティアとジエスは目線が混じる。


――良かった!!(退路)がそこまで来てる!!


「ユービスっ!!アイエルのところまで急いで!!」

「道は出来てる!!行けぇ!!ユービスっ!!」


2人の言葉に、ユービスは言葉も無くジエスの横を通り過ぎ、兵士たちが延ばした道を駆け抜けていく。

その表情は、焦燥と苦悶に満ちていた。


ユービスが走っていくのを見届けると、ケティアの視界はぐにゃりと歪んだ。

「首は…討ち取りました…」

ケティアは息も絶え絶えに、団長へと報告だけはやっとの思いで上げる。


ジエスはそのまま倒れ込みそうなケティアをすぐさま担ぎ上げると、本陣に向けて走り出した。

「よくやってくれた」

ケティアは糸が切れた操り人形のように、だらんと手足を伸ばしたまま、ジエスの身体に揺られる。

この戦場で、何回ユービスの投擲をその身で受けてきたか分からない。

戦いっぱなしの、その小さな体は、限界をとうに超えていた。

「すまん、今回は無理をさせた」

「…いえ…大丈夫です…」


――そんな事より…


ケティアの胸にあったのは、エーシエの身を案じる気持ちだけだった。

「急ぐぞ」

「…お願い…します」

道にはエーシエの流した血が、点々と続いている。

ジエスは後悔を今は飲み込んで、ケティアを担いだまま、全力で道を駆けた。

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