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WANTED GIRL ~惑星をなおす少女~

 浜辺が見える鳥居で、私は箒をはいていた。

 地球の中でも海に囲まれた島国は、森林の伸びが良くて過ごしやすかった。

 地底の人々から協力してもらい、私の名前を付けた神社を立ててもらった後、毎日こうして掃除をしている。

 テラは牛歩ながら復興が進んでいる。

 宇宙に旅立った人類とも連絡がとれて、3年後には帰ってくるらしい。

 つつましい生活をしているけど、この近郊に移り住んだ地球の人たちが自分たちの畑から作物を寄越してくれた。

 そんなのいいと断ったけど、神様に奉納したいという。

 なんだか悪いなぁ……。

 私が家を守る傍ら、うちの旦那さんは田んぼを耕したり、畑に野菜を植えたり、農家にいそしんでいる。喋らずとも応えてくれる作物に喜びを感じているようだ。

 ひっそりと地球人として生きる私たちとは反対に、ケインさんはこの星の大統領になった。各大陸の開拓地を見て回り、ときおり電波装置で国の状況を伝えている。

 ナグ君やミレイヤさんもこうして国を治めていたのかな。

 そんなことをおもうと少し胸があったかくなった。

 掃除をしていると、唐突に黄色い光が現れた。

 ケインさんだとおもったが、その人物は、縁のない眼鏡をかけて、紳士服を着ている中年の男性だった。左手には茶色いカバンをもっている。

 文明が戻っていない地球ではえらく場違いな格好だ。地球ではみんな農作業着でいる。

 

 ――あれ、既視感があるぞ。

 惑星レグダだ!

 私が初めて宇宙に飛び出したとき、ツクモという人を探していた。

「やっぱりあなたがイズモ・ツクモさんでしたか」

 中年男性は人懐っこい笑みを浮かべた。

「すみません! 嘘をついていました!」

 あのとき、同名であった人物を探していた男性に、私は咄嗟に自分の名前は「モモ」だと嘘をついた。

「いいんですよ。私も星の歴史を調べてレグダに辿りましたから。あのときは早すぎましたね」

 そういうと、ワープしてきた人物は懐から布性のケースを取り出した。

 中には白地に黒の文字が書かれている。ただし、まったく読めなかった。

「これはなんでしょう?」

「名刺です。失礼しました。そういえば、この時代では馴染みがなかったですね」

 男性は慌てたようにハンカチを出して、額の汗を拭いた。

「それで、何のようでしょうか?」

 男性は腕を重ねてにぎにぎと合わせながら、

「ツクモさん。あなたは惑星ピアートと地球を救ったと伝えられています。じつはいうとですね、私の星も争いで失ってしまったんですよ。だからあなた様の知恵と勇気を借りたくて会いにきたのです」

「なんと!」

 前代未聞だぞ、これは。

 どうしようか慌てていたとき、背後から足音が聞こえた。

 振り返るとうちの旦那さんが野菜を放り投げて走り寄ってくる。

「なんだこの男は」

「えぇっと……依頼人です」

 中年男性は頭を下げて名刺を差し出す。ミュートさんは黙って受け取ると、小さく息をついた。

「また厄介ごとに巻き込まれそうだな」

「わかるんですか!?」

「知るか。ただ、この男はテラのアニメでよくいる格好をしている。おおかたツクモの噂を聞いてやってきたんだろ」

「ご明察です」

 男性はまたハンカチで汗を拭いた。

「……それで引き受けてくれますでしょうか?」

「ミュートさん。どうしよう、また星の再生を頼まれちゃいました」

「好きにしろ」

 私はミュートさんに抱き着いた後、男性の手を取った。

「大丈夫です。うちの旦那さんもついてくるっていってました」

「それはよかった。では旅支度をすませたら船に同乗しましょう」


 私たちは神社の本殿に入ると、使い古したドラムバッグに衣類をまとめた。

「今度はどこの銀河になるんですかね?」

「もうどこだっていいだろ……」

「むぅ、投げやりです。もっと浪漫をもちましょうよ」

「はぁ……お前はもう少し自分の居場所をもったらどうだ?」

「へへ、いいじゃないですか。あなたと一緒ならどこへでもいきます」

「……まったく。変なやつに憑りつかれたものだ」

「それはこっちのセリフです!!!」

                                    オワリ


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