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WANTED GIRL ~惑星をなおす少女~  作者: 野乃々
2章 宇宙暮らし
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同棲

 室内にアラームが鳴り響いた。

 簡易ベッドから降りると着慣れたツナギに腕を通して管制室へ向かう。

 操縦席にはミュートさんが当然のごとく座って、ヘッドフォンつけて映像データを眺めていた。邪魔しないよう小さく会釈して済ませると、助手席で小型端末を開く。


 母船トネリコを出てひと月。惑星レグダへの旅は長い休暇のように感じられた。これが旅行なら、惰眠を貪ったりゲームに明け暮れるけど、そうはいかない。船の改造を一任されている分、タスクは山のようにあった。

 責任重大だ。ミュートさんの命もかかわるので、タスクのダブルチェックをお願いしたら、意外にも協力してくれた。


 ……それは大変喜ばしいのだが。


 ちらりと隣の無精な男性を盗み見る。

 この男は喋らない。ほんとに喋らない! それでときおり猫みたいに気配を消して(実物は見たことないけど)、トイレとかに戻った時、急にいて驚いたことが度々あった。そのたびに私はなぜか地団太を踏んだ。


 船内生活という、同棲。最初こそ緊張したけど二人でいる時間は少なかった。私たちは活動時間をずらしている。一人が操舵室で作業するなら、もう一人は携帯デバイスをもって自室にこもる。就寝時間もちょうど真逆だ。

 面倒な人だけど、能率はすこぶるいい。憎らしいくらいに。


 そんな彼の数少ない好物は2つ。

 一つはチョコレート。基本は高濃度カカオでたまにミルク入り。食料の4分の1がチョコといっても過言ではなく、食事をサボって食べていたりする(子どもか!)。

 もう一つは映画。トネリコでは1年に1度、政府から娯楽データが届けられるのだが、なにせブラックホールでの1年は向こうで400年に相当する。2D映画、立体映画、アニメーションや地球の白黒映画など無限に観ることができた。ミュートさんは空いた時間やタスクの息抜きに、そうした映像作品をよく眺めていた。


 期間内にプランも練り終え、ようやくレグダにたどり着く。

 私たちが乗っている船、汎用小型宇宙艦(シリアルコードHBRK TYPE-E)――は、1~4人乗りの長距離航行船だ。船内設備に無駄なものがなく、居住スペースはいわゆる2LDK。ダイニングキッチンの両端に個室が二部屋ある。その部屋もベッド一つ置けそうなスペースだ。

 また、極力空間を省きたいのか、トイレとシャワールームがセットで洗面台もなし。

 少し不便な気もするが、個人で買ったものだし、居候している身だから文句はない。

 メインエンジンは核融合炉。そこから二門の射出用のスラスターに繋がっていて熱噴射で航行する。余ったエネルギーは、船内の電力や、迎撃用レーザー・バリア発生装置に転換しており、ブラックホール圏では常時稼働し続けた。


 購入してから二〇〇年近く経つけど、安価でコスパに優れるHBRKシリーズはいまなお人気で、昔のバージョンの予備パーツも売られている。追加パーツもつけやすいから、購入者はアレンジするものも多い。だから潜水艇への改造も難しくないという。

 頭部のオプションパーツは美学を損なうけど、それ以外は概ねいい。

 だからレグダで新たな宇宙船を購入せずに、このままピアートまでいってくれるという。そして、なぜか費用はミュートさんがだすんだ(折半するといったけどきかなかった)。

 段取りはいまのところ順調だ。100時間かけて改造プランを練り、惑星レグダにその見積もりを送っている。宇宙政府より先にピアートに着かなければならないので、少しでも早く出発する必要があった。

 それにしても、惑星か。

 初めての大地に胸が高鳴った。

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