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WANTED GIRL ~惑星をなおす少女~  作者: 野乃々
3章 惑星ピアート
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ミステリアスな彼

「おやすみなさい」

 互いの活動時間を反転させた生活の日々。

 ようやく目覚めて運転席に着いた彼と入れ替わるように操舵室をでた。

 挨拶しても返ってこないのはわかっているのに。

 もう慣れたとはいえ、相変わらずもやもやする。でも、一緒にいるとどぎまぎする。


 ゲンキンな人間だ、私は。

 ちょっと顔がいいからって彼を別人みたいに扱ってる。

「はぁ……」

 つかず離れずの微妙な関係に、どうしたらいいかわからない。


 ほんの少し前までは根暗で愛想のない嫌なやつだとおもっていた。

 でも、ただのずぼらで人見知りが激しくて、じつはいい人なんじゃないかと感じている。

 船の改造プランも終わって、余暇時間ばかりになった私は、暇があるとミュートさんのことを考えていた。

 口数が少なく、静かにどこかを見つめる瞳は、どこかミステリアスさを醸し出していた。

「どうしたものかね……」

 小さく息をついた後、とにかく作業をして忘れたかった。


 共有リビングのテーブルに目がいく。

 黒いウレタン製の布の上にあるのは、金の亀裂が入った漆黒の鉱石だ。最初は金鉱石かとおもったが、輝く亀裂は動脈のようにその光をゆっくり走らせていた。

 

 ミュートさんは惑星レグダにいる間、鉱石の一部を削って調べたという。そのデータをもらい閲覧しているが、読めば読むほど謎の物質だった。いまはこの鉱石の研究がタスクとなっている。

 黒い部分はナトリウムやカリウムや炭素・鉄の成分が混じった石でしかない。問題の金色の部分は、紛れもなくAu(金)なのだが、削ったあと生き物のようにしばらく点滅し、事切れたように反応がなくなった。


 金の部分に、X線、赤外線、マイクロ波などそれぞれ映像に映したが、中心はどれも白くなって見えなかった。振動、熱、水分、圧力や張力などくわえたが大きな反応はなく、石は石のまま、定期的に黄金の亀裂から光を発するだけだった。

 うーん、あの男みたいにミステリー。


 腕を組んで考え込むと、謎の石を削って置いていた砂がかすかに動いた。最初は気のせいだとおもったが、じっと観察しているとやはり動いた!

 鉱石が勝手に動くなんて信じられない!

 いてもたってもいられず、自室に持ち込んで白紙を敷き、一メートルほど四角く囲んだ後、鉱石の十センチ離れたところに削った砂を置き、上部から録画を開始した。

 一体どんな動き方をするのんだろう。

 このまま観察を続けたかったが、就寝時間になったため、結果は目が覚めてから確認する。


 起床すると、いの一番で録画データを再生した。

 最初は映像に変化がなかったので、早送りで再生する。

 砂は十数時間かけて、謎の鉱石を中心に楕円形に移動する。しかも移動のタイミングは、金色の部分が光ったときだけだった。


「ミュートさん!」

 操縦席に入るなり記録した小型端末を彼に見せた。

「すごいです。石が勝手に光だして、その周りを石の一部の砂たちがまわっているんです!

 世紀の発見だとおもい、興奮している私だが、ミュートさんはもとから知っているというふうに無反応だった。

「どこで手に入れたんですか?」

 ミュートさんは肩をすくめて部屋へ戻っていた。

 交代だといわんばかりに。


 むむむ、相変わらず会話がない。私のイライラが募るばかりだ。

 もうすぐ目的地に着くんだけどなぁ。


 酸の海が広がる、無人惑星ピアート。

 恐怖と隣り合わせの世界に、彼と連携がとれるか心底不安だ。

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