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WANTED GIRL ~惑星をなおす少女~  作者: 野乃々
2章 宇宙暮らし
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改造宇宙船トライズ

 船のエンジンをつけると、正面ディスプレイに外部カメラの映像が映った。星々がきらめく宇宙の空に、灰色の薄い膜がかかっている。地上のエアポートでは、しわのない作業着の工場長が満足げに腕を組んでいた。

 工期は予定通り3日で完了した。試運転も行い、三形態の変形も無事済んだ。あとは実践を待つだけだ。わくわくするぜ。

「エンジン出力良好、これより改造宇宙船【トライズ】発進します」

「わかった……」

 ミュートさんが不満げに声を漏らした後、

「…………しん」

 耳を澄ませていないと聞き取れない! そんなに喋りたくないんか!!


 トライズの船底にあるサブスラスターが吹いてゆっくりと宙に浮いた。

 船首が斜め上に向き、高く伸びたビル群を目指す。

 工場長と警備スパイダーは、飛んでいく私たちに手を振っていた。

 船は次第に加速して灰色の幕を突き抜ける。

 すぐさま純然たる星の海と、地表の建築物が見える。

 短い滞在だった。あれから買い物や工場見学や博物館などをめぐり、時間をつぶした。テラ人の捜索も、あの男性も探したが、あれからまったく姿をみせなかった。やっぱり非常識すぎるな。


 トライズがレグダの衛星圏を出た後、オート操縦に移行した。次の行き先はワープ装置があるステーションになる。


 ちらりとミュートさんを見る。

 この3日間、彼は何をしているんだろうか。

 髪は長くてチリヂリだし、無精ひげを伸ばしている。せっかく有人惑星にいったのに、身なりを整えないなんて。

「ミュートさん、なんで髪を切らなかったんです?」

 バツが悪いのか、ぷいっと顔を背ける。子どもか!


「時間もあったんですし、ヘアサロンに行けばよかったじゃないですか」

「機械に触れられるのは好きじゃない……」

 なんのこだわりか知らないが、要するに行きたくないのだ。

 いまどき散髪で生計を立てている人はいない。個別のヘアサロン機械があって自動で整えてくれる。

「そうかと思ってハサミとクシをもってきました。あとでシャワー室で切ります。休み中、3D演習でトレーニングしたので失敗しないはずです」

「…………」

 嫌そうな顔を見せたあと、すぐにそっぽ向く。

「全部ミュートさんの世話になりっぱなしじゃ嫌なんです。せめて恩を返させてください」

「……いらない」

 予想通りの返事に私はあからさまに嘆息した。

 こうなったら仕方ない。最後の手段だ。


「正直、髪が臭いんですよ。船のあちこちで落ちて汚いですし。乗せてもらって感謝してますが、少しくらい私に配慮してください」

 ミュートさんは恨めしそうにこちらを見るが、私は気まずそうに視線を外してアヒル口になる。お互い様だ。

 ミュートさんも負けないくらい嘆息すると、

「……好きにしろ」

 内心ガッツポーズした。

 これで少しばかりの借りが返せる!

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