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思春期

作者: せおぽん
掲載日:2025/10/29

「あなた達2年3組の担任になります。狭山瑠華です。」

喧騒に満ちた9m四方の箱の中。

無知で衝動的な人間の幼生の群れ。

彼らの底から溢れる根拠のない焦燥と、途切れない活力。

教師という権威に意味もなく唾を吐きたがる、荒々しく幼稚な衝動。


成長途中の少女たちは私をライバルと見ている。

無遠慮な好奇心の視線が、私を測ろうと絡んでくる。

このすべてが、彼らが怪物になるか神様になるかという混沌の渦を巻いている。


「はいっ、先生は独身ですか?」

箱のなかに溢れる嘲笑。

この少年は、この箱のリーダーになろうとしているのだろう。


「私は独身です。交際している男性はいます。田谷くんは、なぜこのような質問を?」

「あ!? えっ!? 独身なのかな? と思って」

「それは理由とは言えませんね」


ははははははは。


箱の中が嘲笑で満たされる。

嘲笑の対象は彼だ。

虚栄。尊敬。羨望。敵意。嫉妬。定まらぬ視線が交錯する。


嘲笑で、箱の中の温度が上がる。

空気がかき混ぜられ、少年の匂い、少女の匂い、成長の異なる身体の匂い——安っぽい柔軟剤の匂い。チョークの匂い。私の匂い。

換気の充分でない箱の中は、息苦しいほどだ。


矜持をまだ持たぬ幼い魂は、簡単にその色を変える。

ころころと色を変える魂を見続けていると、気分が悪くなる。

やがて交じりあって灰色になれば、落ち着くだろう。私のように。


私は思春期が気持ち悪いのだ。


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