祈呪
これは、幾千年前の物語。
この村には神様がいるらしい。
幼い頃からそう教えられて育ってきた。
年明けで雪も積もる頃。
村のすぐ隣にある森へ向かって歩きながら、後ろに向かって声を掛ける。
「サチ、今日は薬草を取りに行くよ!」
「うん、シン兄!」
後ろをちょこちょこついてきているのは、妹のサチだ。いつも「シン兄!シン兄!」と慕ってくれている可愛い妹。
明日は毎年恒例の祭りがある。どうも、この村の神に今年の豊作を祈っているらしい。
昔から神なんて信じるたちではなかったが、サチはかなり興味があるらしく、僕がつまらなそうに祈祷をしているときはいつも「シン兄、ちゃんとお祈りしないとだめだよ!神様が怒っちゃう!」と喝を入れてくるほどだった。
今日はその祭りのために、薬草を用意しなくてはならない。この時期になると、「祭りだ!」と張り切って遠くの山まで狩りに行き、怪我を負って帰ってくる者が多数出てくるので、回復用にたくさん必要になるのだ。それと、もう幾らか神に捧げる分も別で用意しなければならない。
「足元気をつけてね」
「はーい」
昨晩大雪が降ったため、積もった雪で足元が滑るのだ。罠で作られた落とし穴や高いところの崖も雪に埋もれて見分けがつかないため、慎重に歩かないと落っこちてしまう。
「わぁっ」
後ろからドサッという音とともにサチの悲鳴が聞こえる。言ったそばから落とし穴に体を埋めている。
「まったく…言ったばかりなのに。ほら、手、掴んで」
「ありがとう、シン兄」
ヘラヘラと笑っているサチを引き上げる。自然の中では最低限の緊張感は持ってほしいと思う。
薬草がたくさん生えている最深部付近にたどり着き、持ってきたかごに摘んだ薬草を詰めていく。
二人がかりだとその分効率もよく、数十分である程度摘み終わった。そのため、少し寄り道しながらサチと帰路につく。
サチが「お腹すいたー!」とうるさいので、木に実っていた果物をしっかり目利きしてもぎ取る。
「ほら、お食べ」
「わーい、ありがとう!」
林檎や蜜柑を頬張り「甘〜い」と幸せそうに笑うサチを見ていると、こちらまでつられて笑顔になってしまう。
(この笑顔は守っていこう…)
一段落して、再度歩き出す。
しばらくすると、昨晩の影響だろうか、先の道が倒木で塞がれていた。
ぴょんと上から乗り越えるが、サチにはそんな体力はないため、回り込んで来るように伝える。
遠くをぼんやりと眺めて待っていると、再度ドサッという音が聞こえる。
また落とし穴に引っかかったのかと思い周囲を確認するも、それらしき跡
は見つからない。もしやと思い先まで確認してみると、高さ三、四メートル程度の崖があった。下を覗くと、上半身を雪に埋めたサチの姿があった。急いで飛び降りて、雪からサチを引っこ抜く。
「冷た〜い!びっくりした〜」
怪我はしていないようで安心したが、それよりも気になることがあった。
崖から飛び降りる途中、偶然か否か、異様な洞穴を見つけたのだ。たった今飛び降りた崖を振り返る。やはり、人一人通れる幅の洞窟のようなものがあった。
どう見ても人工物としか思えないそれは、内側から常軌を逸するほどの禍々しい空気を漂わせていた。
「サチ、少しここで待ってて」
サチを連れてはいけない、そう本能が叫んだ。
「なんでー!サチも行く!」
「駄目だ」
頬を膨らすサチには申し訳ないが、薬草入りの籠を預けて待っていてもらうことにする。
そこらの木の枝を折って火をつけ松明として、いざ中へ侵入する。
入り組んでいるかと思われた洞窟の中は、それほど複雑ではなかった。入口が見えなくなるくらいまで歩くと、奥に何かが並べられているのが見て取れた。
怖気づくこともなくもう少し近づいてみると、それらが何かをはっきりと認識できた。
刹那、全身の産毛に至るまでに悪寒が走った。
並べられていたのは、何人もの…いや、何個もの少女たちだった。歳は、大方九から十三あたりだろうか。ちょうど、サチくらいの年代の子もいる。
生気がない。恐らく死んでいるのだろう。しかし、きちんと服を着せられたそれらはどこも腐敗していないように見える。目は半開きで、口は閉じられており、どれも人形のように足を伸ばした状態で座らされている。
見ているだけで吐き気がしてきた。何故だろう、とてつもない嫌悪感が全身を包む。いや、当然だろう、人の形をしたそれが、玩具のように飾られているのだから。
これ以上いられないので、急いで出口へ向かう。途中、松明の火が消えてしまった。すると、今まで身を潜めていた蝙蝠たちが一斉に襲いかかってくる。僕が壊されそうだ。
一直線に出口まで向かうと、「シン兄!」と僕を呼ぶ声が聞こえる。声のもとまでたどり着き、周囲が明るくなると、いつの間にか蝙蝠たちは姿を消していた。
(サチを連れて行かなくて本当に良かった…)
「シン兄、大丈夫…?」
サチに心配されてしまった。
「うん…大丈夫」
呼吸を整えていると、頭上から声が聞こえる。
「おい坊主!このあたりには踏み込むな!」
驚いて見上げると、崖の上で村の番担当が険しい顔をしてこちらを見つめていた。
その男は降りてくるやいなや、僕らを叱った。
「この一帯は神さんの占有地だ。今すぐ離れろ」
「占有地…?もう少し詳しく教えてもらえますか」
急なことに混乱を隠せなかったが、いい機会だから神様について聞いておこうと思った。
「…まずはここを離れるぞ」
そう言う村人と共に、僕らは村まで帰ってきた。
「教えてください。神様なんて本当にいるんですか。あの森と関係があるんですか」
サチを家に帰した後、再度不躾な問いを投げつける。
男は困ったように頭を掻きながら答える。
「あんまり坊主くらいの歳のやつに言うようなことでもないんだけどな…特別に教えてやるよ」
男は、覚悟を決めたように話しだす。
「神さんはな、いる。俺も見たことはないが、森の中に眠っていて、この村を守ってくれている…らしい」
「地震も火事も起きてるのに…これが守ってくれてるって言えるんですか?」
「そうだな…正直、守ってくれてるって言うよりは、お偉いさんたちの自己満足じゃないかなって思ってんだ。儀式も本当に効果があるのかどうか…」
ふと、とある単語が引っかかる。
「儀式…ってなんですか」
「儀式なんて言ったかな…」
男はまずったような顔をしてしらを切りだしたが、こちらはそれを逃すわけもなく追撃する。
「とぼけないでください。あの洞窟とも関係があるんですか」
男は更に驚いた顔をして、参ったように言う。
「あれまで見ちゃってんのか…わかった。明日、祭りのときに門の前に来い。教えてやる。今日はここまでだ、見張りに戻らねば」
仕事を理由にされてはこれ以上食い下がるわけにもいかないので、渋々諦めて別れる。
家に変えると、サチが満面の笑みで出迎えてくれた。いや、少し作り笑いが入っているだろうか。
「シン兄おかえり!何してたの?」
「少し神様について聞いていたんだ」
「神様…そうだったんだね」
何故か、サチは寂しそうな顔をして俯いてしまう。
「…どうした?」
尋ねると、サチは「ううん、なんでもない!」と再び笑顔に戻った。
その後夕飯を済ませ、就寝準備をする。両親は、明日の祭りの準備で一晩中帰ってこないらしい。
いつもサチとは敷物を分けて寝ているが、今日はサチがこちらに潜り込んできた。
「…母さんがいなくて寂しい?」
少しからかってみるが、サチは首を横に振る。
「父さんか?」
「そうじゃないの…」
サチの声が震えていることに気づき、そちらを見ると、その顔には涙がこぼれていた。
「え、どうしたの!誰にやられた?」
「ううん…違うの…」
そう言いながらも、サチは涙を流し続けている。
これ以上聞くのも野暮だと思い、その後は、サチをただ抱きしめてあげることしかできなかった。
しばらく泣き続けて落ち着いたのか、やがてサチは口を開いた。
「ねえシン兄、もしも…サチが食べられちゃうとしたらどうする?」
未だ声は震えている。僕は質問の意図がよくわからなかった。
「そんなこと、させない」
「じゃあ、サチが食べられることで、みんなが幸せになるとしたら…?」
何故急にこんな質問をするのかわからなかった。
「それでも、サチが食べられるなんてことはさせない」
再びサチの目に涙が浮かぶ。
「シン兄はそう言ってくれるよね…サチ、それだけで…すごく嬉しい」
再びしゃくり泣いてしまう。
しばらくして泣き疲れたのか、サチはそのまま眠りに落ちてしまった。
一方の僕はというと、番の男に言われたことと、今のサチの態度が返しのように頭に引っかかって取れなかった。
浅い眠りしかできなかった晩の翌日、サチはいつも通りの元気さで起床し、村の者たちに変わらぬ笑顔で接していた…周りからすれば、そう見えていたであろう。
僕は昨晩のことも相まって、どうしてもサチの見せる笑顔が偽りにしか見えなかった。
僕にとっては、まず番の男に例の儀式について聞かねばならないため、時が経つのを待つことしかできなかった。
日が暮れ始めた頃に祭りは始まり、あちらこちらで宴が開かれ、辺りは賑わっていた。
僕とサチは村の者たちに挨拶をして まわっていたが、何軒かまわった後、急にサチが僕の手を強く握ってきた。
「ねえ、シン兄」
「なに?」
「いや…呼んでみただけ」
急なことで僕が困惑していると、サチはもう一つ頼み事をする。
「シン兄…もう一回、抱きしめてくれる?」
「え?まあ、いいけど…」
僕は更に困惑しながら両腕でサチを包む。すると、サチは思い切り僕を抱きしめ返してきた。
「ありがとう…シン兄…大好き」
その頬には、涙が伝っている。
僕が何も言葉を返せないでいると、サチはぱっと離れ、涙を取り繕うように大声で言う。
「あっ、サチ、お友だちに挨拶してこないと!シン兄はここで待ってて」
サチと同年代の友達なんていただろうかと思いつつも、その場で返す。
「僕も少し用事があるから、終わったらまた戻ってくるよ」
そう言って、一旦サチと別れる。
昨日の約束通り、門の前まで向かう。男は言葉通り、門の前で待っていた。
「よお坊主、来たんだな」
「教えてください…儀式について」
「そうだな…ちょっとこっちに来い」
人気のない裏まで移動し、男は話し始める。
「この村では昔から儀式を行っているんだ。あんまり目立つようにはされてないから、お前が今まで知らなかったのも無理はないな。祭り自体の目的としては、一年の豊作を願ってのものなんだが、この村の儀式は、人々の幸せを願って行われてんだ。平和とか、無病とか、そんなとこなんだが」
一瞬、男は言葉に詰まる。
「そのために、神に年頃前の少女を生贄として捧げることになってるんだ」
「…え?」
何を言われたのか理解できなかった。いるかどうかもわからない神に生贄だなんて、何を言っているのだろう。
「俺も正直その気持ちだよ。毎年儀式の度に、年頃前の女の子が一人ずつ犠牲になってる。どうも、村長やその周りのお偉いさんたちはその生贄に効果があると思いこんでいるらしい。実際ないと思うんだがなぁ…しかも、男の子と違って女の子は、生贄の価値だとか神の有難さだとか、そんな狂信的な内容を物心ついた頃から刷り込まれているそうだ」
「うっ…」
聞いているだけで吐き気がしてくる。あの洞窟の奥を目にしたときのようだ。
「余計にタチが悪いのは、実際に神っぽい何かがいるってことだ。一方的に信じて生贄を生き埋めにするとかじゃなくて、儀式の中で魂が喰われてるみたいなんだよ。だから、人の殻は残るし、傷がつく様子もない。お前も見たんだろ?あの洞窟を。あの中にいた子供たちは儀式の残骸だ」
昨日の風景が鮮明に思い出される。
腐敗した様子のない、生気のない少女たち。
「生贄となる少女の家族は、それに反対しないんですか?」
「もちろんするだろうさ。ただ、生贄となることが伝えられるのは前日の午後、本人にのみだ。しかも、それは他言してはならない。これじゃあ、気付きたくても気付けないさ。だから、祭りの前にはいきなり別れや感謝を告げる少女が毎年現れるんだそうだ」
「え…それって…」
全身の毛が逆立つのを感じる。
「俺の口からは言わないさ…その様子だと、そういうことなんだろ」
「儀式は…どこで行われているんですか」
焦りという段階はとっくに過ぎ去っている。今は一分一秒が惜しい。今すぐにサチのもとへ行かなければ。
「この門の真反対、村の最奥だ」
それを聞くとすぐに走りだす。
番の男は、そんな背中を見ながら呟く。
「悪いな坊主…力になれなくて」
(ごめんごめんごめん…気づいてやれなくて…サチ…駄目だ…)
何故先程容易く別れてしまったのか、自責の念に駆られながら必死の思いで走る。願わくば、サチを連れてこの村から抜け出したい。
(あと少し…サチ…頼む…)
恐らく男の指していたであろう場所
についた。間違いない、地味だがいかにもな祭壇が用意されている。
間に合っただろうか。息を整えながら祭壇の中央を見る。
「サチ!!!」
「え…シン…兄?」
円状に並べられた松明の明かりに囲まれたサチが、涙を浮かべながらこちらを振り返る。巫女装束を身につけ、手には怪しげな神具を持たされている。
「サチ!!こっちにこい!!まだ間に合う!!早く!!!」
叫んでいる顔はどれだけ醜かったろうか。この声がサチに届いてほしい、それだけの想いだった。
「君!何をしている、儀式の邪魔をするな」
恐らく関係者だろう。叫ぶ僕を止めに入るが、村長らしき人がそれを制止する。
「放っておきなさい。どうせ無意味じゃ」
「サチ!!!何してるんだ!!!こっちに来い!!!」
僕がどれだけ涙を流し、汗を散らしても、サチはその場を動こうとしない。
それならこちらから無理矢理にでも引っ張り出そうと祭壇へ踏み込むが、何故かはじき出されてしまう。
「くそっ…なんで」
サチはそんな様子を見て、ゆっくりと微笑みながら呟いた。
「ごめんね、シン兄…私、お母さんもお父さんも…シン兄も…村のみんなにも…幸せになってほしいんだ」
さらにその細い声を震わせて続ける。
「ほら、サチの名前…幸せって意味なんだよ…サチはみんなを幸せにするために生まれてきたから…これも…辛くないんだよ…」
顔が強張る。サチにつられてこちらの声も震えてしまう。
「嘘つけ!!!サチ…サチ!!!」
どうにかして説得しないとならないのに、うまく言葉が出てこない。鼻をすすり泣き叫ぶが、サチが動く様子はない。
サチは最後に、無理やり笑顔を作って言う。
「シン兄…サチね、幸せだったよ…昨日の薬草集めも、とっても楽しかった。でもね…ちょっとだけ………寂しいんだ」
サチがそう言った瞬間、目から生気を失う。
「…サチ?」
声をかけても、彼女には届かない。
そのまま、サチだったものは祭壇の上に倒れ込んでしまう。
「サチ!!」
素早く駆け寄り、体を揺らし何度も声を掛けるが動かない。
「サチ!!サチ!!!」
「無駄じゃ。逝ってしまわれた」
後ろから村長らしき人の声がする。
こちらが何も言わずに睨んでいると、鋭い視線に気づいたのか村長は口を開く。
「尊い犠牲じゃ。ふぉっふぉっ。こやつのお陰で今年もわしらの村は安泰じゃ。なに、妹のことは災害にあったと思えばよかろう。妹も村のためだと喜んでいたではないか」
そう言って去ろうとする間際、思い
出したように続ける。
「ああ、その遺体には触らんどくれ。明日、お供えせねばならんからの」
このとき、既にこの人の皮を被ったなにかへの憎悪は最大に達していただろう。
「…人は道具なのかよ」
村長たちは立ち止まり、きょとんとした顔でこちらを見つめる。
「自分たちが幸せならそれでいいのかよ!意味のない生贄を毎年用意して、その度にどれだけの命が、愛が、想いが失われたと思ってるんだ!」
自分でも勝手なことを言っているのは分かっていた。毎年行われていた儀式であるにも関わらず、自分の身内が生贄の対象になったばかりにこの言いようだ。しかし、今まで生贄となった少女たちの家族や友達も、きっと同じ憤りを抱えていたに違いないだろう。
悪魔は少し考えてから言葉を発する。
「わしらだけではない。この村全体が神によって守られるのじゃ。それに、意味はある。生贄を捧げていなければ、今頃この村は崩壊していたであろう」
根も葉もないような戯言を並べる悪魔と対話する気は、もう到底起きなかった。
僕は、かつて妹だったものを担いで急いで村を出た。後ろから僕に対する罵声が幾度となく飛んできていたが、気にせずに走った。きっと、その時にはもう冷静だったと思う。妹を失った悲しみが、なにか別の大きな感情に差し替わっていたのだろう。
妹だったものを担いで辿ったのは、
つい先日妹の笑顔で溢れた道だった。
(守るって…決めたんだけどな)
子供一人の誓いがどれほど貧弱なものかを痛感する。
そして、あの洞窟の前に来る。自ら「供え」とかいう吐き気のするようなことをしに来た訳では無いが、自然と足が運ばれたのだ。
妹を担いでいるため松明は無い。しかし、蝙蝠たちが襲ってくる気配はなかった。
人形たちが並べられている場所まで行き、同じように妹を並べ、自分もその隣に座る。
僕は、ここで妹と一生を過ごすことに決めた。一生と言っても、あと数日もすれば…いや、その前に僕も喰われてしまうかもしれない。
その後は…そうだな、我儘にしか生きることのできない人間を呪ってやろう。恨み…辛み…憎しみ…己の不幸に苦しむといい。
翌日、村長たちが洞窟まで足を運んで来る。
「こやつ、やりおった…」
村長の目の先には、人形と化したサチと、同じく人形と化した僕の姿があった。
その時、村の番の男は、相方の番の者と話していた。
「昨晩の儀式で、また物騒なことが分かったらしいぜ」
「なんだなんだ」
「儀式で願うことができるのは、村長の言う”村を平和に”なんてものじゃない。生贄となる少女の、心からの願
いなんだと。ほら、昔生贄になった女の子にずっと乱暴してた父親が、散々病気で苦しんだあと死んだろ?」
「あー、んなこともあったっけ」
「まあ、それに村長らが気づくかはわからないし、少女たちの願いなんて知るよしもないからな。でも昨晩の…サチちゃん?だっけ。あの子、本気で人の幸せを願ってたみたいだから、もしかすると本当に村に幸せが訪れるかもな」
かつて、人々の幸せを願った幸。
かつて、人々の幸せを呪った辛。
それらが森羅万象に絡み合い、村一帯に降り注いだ。
そうして、現代まで祈りと呪いは一帯に残り続け、環を成している。




