指名手配③
獣人の国、その王城で、一人の兵士が報告を上げていた。
相手は屈強な戦士でありながらも、この国、いや。一人の女王に忠誠を誓った偉大なるお方である。
眼光は鋭く、子供達にはいつも怯えられているが、戦場ではこれ以上ないほどの頼もしさに変わる。
ガルド・ディーン。その名はこの国で知らない人はいない。悪は彼を恐れ、子供たちは彼に憧れ彼になりきってヒーローごっこをするほどの人気者だ。
鉄壁のガルド。誰がつけたかいつしか彼はそう呼ばれている。
山を打ち砕くほどの魔術が撃てるわけではない。
海を切り裂くほどの剣が上手いわけでもない。
それでも、最後には必ず立っている。故に鉄壁。難攻不落の男だ。
「そうか、見つけたか」
「はい。現在はあの兄弟のところに匿われているようでして」
「まったく、物好きな奴らだ。警告は出しておけ。従わない場合は実力行使に出るとな。」
部下の青年が敬礼をして走り去ってゆく。うしろの尻尾がぶんぶん左右に激しく揺れているせいでどうもしっかりとした部下ではなく愛らしい部下という印象になってしまう。
「見つかったのか?」
ふいに後ろから声が聞こえた。いや、わかってはいたがあえて分かっていない振りをした。
振り返れば雪のように白い尾を5本、ゆらゆらと揺らしながらこちらを見つめる白狐の獣人がいた。
私は跪き頭を垂れる。
「たった今報告しようと思っておりました」
「わらわが来ても気づかんフリしとったやつが報告なぁ。それで?田舎の街やって?」
「・・・はい。今は」
「知っとるよ、あの兄弟のところやろ。聞こえとったわ。はよう行って捕まえてき。別にうっかり殺っても構わんけれど。」
姫は心底嫌そうな声を出した。




