深海の魔女が天国で幸せになりますように
仕事サボってやる洗車はいつもより楽しかった。
私は確かに首を斬った。この嫌な感触は忘れることはないだろう。
水溜りも消え始め、死んだと思っていた魔女は微かに唇を動かした。
「あり・・・が・・・とう。これ・・・あげる・・・」
水に似たオーラが私の全身を包む。彼女はにっこりと笑って満足そうに逝った。静寂が訪れる中、魔女の体は静かに崩壊を始めていた。私はふと、あることを忘れていたことを思い出す。
「名前、聞いてなかった。」
彼女だって名前はあったはずなのに聞かなかった。兵器というだけで恐れていた。
胸の奥がチクリと痛む。
魔女は全員で10人と聞いてる。なら、一人くらい彼女のことを知っている人がいるかもしれない。
もし他の魔女と出会えたら聞いてみよう。
「それは何をしている?」
彼女がいたところの土を盛って近くにあった丈夫そうな木材を突き立てる。
今はこれぐらいしかできないけれど。
「お墓だよ。大した出来じゃないけれど、せめて彼女と出会えた証は残したい。」
「なるほど、ならば俺も祈らせてくれ」
ナツさんたちも近くに寄って祈りを捧げる。
祈り方は私とナツさんたちはそれぞれ違った。でもきっと、同じことを祈ったはずだ。




