魔女の殺し方③
魔女の足元の水たまりは今も広がり続け、魔女との距離は50mはとっくに超えていた。
多分、本来であれば私たちはとっくに水の中だろう。魔女が力を抑えてくれているからこそ、猶予があった。
「いつでもいけるぞ!準備はいいか!?」
ハル、ナツ、アキ、フユがそれぞれ魔力を廻し、水溜りの上に小さな足場を作った。
ハルとナツでひとつ、アキとフユで一つ。そして師匠ので3つ。50mという間合いをたった3歩で詰める。
呼吸を一度。大丈夫、私は舞える。長々と時間をかけるつもりはない。
最短、最速でケリをつける。
刀は顔の横に、助走を邪魔しない位置に構えておく。
「いざ!」
短く息を吐いて地を蹴り一つ目の足場に迫る。水溜りの範囲に入った瞬間に感じる濃密な死の気配。
だが目の前のことに集中しろと、不穏な考えを無理矢理払う。
水面からはおびただしい数の水の手が足を掴もうと手を伸ばす。速さで言えば私が上、掴まることはない。
だが、そんなことは敵も承知している。師匠が作った一つ目の足場を蹴り飛んだ先で、待ち構えるように手が壁を作っていた。
「・・・っ!!」
白い【心念】を纏って目の前の壁を切り払う。水の手は元の水へと戻り重力に従って水溜りへと一度消える。そのまま二つ目の足場を蹴り飛ぶ。そしてその先で悪意を見た。
3つ目の足場には、すでに水の手が待ち構えていた。たった3歩で水の手が学習したのだ。
今更引き返せないし、そのつもりもない。だが足場に近づけば必ず沈められる。水だけを斬るなんて神業できない。
たった3歩で、人は、絶望を知れたのだ。




