魔女の殺し方②
「聞いてないんだけど師匠!」
「だって言うてないもん」
師匠は頭を掻きながら明後日の方を向いていた。私が師匠とギャーギャー喚いているとき、突如としてそれは起きた。
何のきっかけもない、不運。原因は老朽化だろう。それが、今だっただけだ。
魔女がつけていた首輪のようなもの。それの金具が壊れて落ちた。
一瞬の静寂。そして、あふれ出る力の渦。気が付けば魔女の足元から水があふれ出ていた。
彼女は自分を抱きしめ必死に力を抑えようとした。実際少しではあるが足元の水の広がる速度が遅くなった。
きっと彼女の足元から出ている水たまりは、あのペルシを飲み込んだものと同一だろう。
近づくだけで引きずり込まれるものだ。迂闊には近づけない。だが、──
「おねがい、殺して──」
近づかなければ殺せない。そもそも、近づけたとして私は本当に殺せるのか?
時間が立てば不利になる。私には誰かの命を背負う覚悟なんて、まだない。
「一人でやるんじゃない」
ナツさんが声を上げる。濃密な死の魔力の渦の中、声を出して不安をかき消す。
「みんなでやるんだ。」
刀を強く握りしめたミライの瞳に、不安の色はもうなかった。
「みんな集まって。ひとつ、作戦があるの」




