彼女は桜魏凛②
「ところで君の名前は?」
子国さんが尋ねる。そういえばしようとして言えていなかった。
私は立ち上がり軽く咳払いをして二人を見やる。
「私は古家未来といいます。ミライが名前なのでこっちで呼んでくれれば嬉しいです。」
腰まで伸ばしたポニーテールに、どこかの学校の制服を着た黒髪に黒い瞳の少女、ミライがそう名乗る。
どこか違和感があるとすれば腰に携えた刀だろうが、ここでそんなものを気にする人はいなかった。
子国さんが隣に座り団子を注文する。話に付き合うなら奢ると言ったので私とリンさんも追加で注文した。
「それでミライさんはどこの世界から来たんだい?」
私は口に入れたばかりのお茶を盛大に零してしまった。
子国さんが謝りながらハンカチを渡してくれた。
「地球ってところからです。そこの日本という国からきました。」
「ちきゅうは知らないけれど日本なら知ってるね。けどやっぱり別の世界からきたんだね!」
子国さんは少し興奮気味に質問を続けた。そして日本という国名をなぜ知っているかも教えてくれた。
「昔から天災とかが起きる前に異なる世界から勇者が現れて災いを食い止めるんだよ。子供はみんな勇者の話を寝る前の子守歌代わりに聞きながら寝たもんさ。今でも勇者達の冒険譚は残されているものがあるよ。そういえば君はもしかしてこの世界にきたばかりなのかな?」
「まだ・・・というか2年はいたんですけど師匠のもとから離れられなかったので・・・」
「そうなのかい?そのわりには・・・まあいいか。もしよかったらこれをあげるよ。大した情報は書いてないだろうけど役には立つはずだ。」
子国さんはお茶を飲み干すとどこかへと去ってしまった。
ちなみに会話に参加していなかったリンさんは食べるのに忙しそうだった。




