終末兵器、顕現②
海とは、全ての生命の始まりである。
海とは、全てを包み込むものである。
故に、慈悲深く、無慈悲に。汚く、清らかに。優しく、非道に。
ありとあらゆる清濁併せ吞む存在こそが海である。そして、
その化身が今この瞬間、私たちの前に姿を現した。
はるか昔、この世界の人口を一割以下にまで減らした10人の魔女。
現在まで語り継がれてはいるがそれはごく一部の地域にしか伝わっていない。
そのうちの一人が今、こうして目の前にいる。
「あなたかしら?わたくしを殺せるのは。」
私に向かって指をさす。しかしその表情は無に近い。私はあたりに充満している潮のにおいを耐えながらひとつ尋ねた。
「あなたはなんで死にたがっているの?生贄を欲してまで生き続けるのはどうして?」
「・・・そうね。何も知らない人ならばそう思うのが正解よね。いいわ、退屈しのぎに語ってあげるわ」
彼女は何も動かさずに、池の水を操り全員分の椅子を用意した。
「勝手に池に引きずりこみはしないから安心して。話すけど長くなりそうだし」
私は彼女を見て迷いなく座った。それを見てパーティーのナツが不安そうに声をかける。
だけど、
「大丈夫だよ。あの人は多分純粋だから嘘はつかないよ」
不安そうだったナツ達もゆっくりと椅子に座った。感触はまるで高反発のクッションをお尻に敷いているかのようにとてもいい座り心地だった。
「あれは私たちが暴走した時、確か2千年くらい前の話かしらね」
彼女はゆっくりと話し始めた。




