終末兵器、顕現
ペルシが池に飲み込まれた。あんなに優しかったペルシさえも飲み込んだ。
私は体に白いもやを纏って──
「やめておけや」
肩に誰かの手が止まる。その声は、私が今一番頼りになる声の主だった。
「なるほどのう。ペルシちゃんと村長が。それは災難じゃったな。」
「ご老人。あなたならこの池を何とかできませんか?」
ナツさんが師匠に問うが返ってきた返答はキツイ現実だった。
「無理じゃな。どれだけ年月を重ねようと、祈るぐらいしかできんこともある。お主らは自然災害を止めようと考えたことがあるか?それは無謀なんじゃよ。そんなものは勇者か英雄にでも任せておけばいい。」
みんなが俯く。確かにできないことはどうしようもない。それでも助けたかった。私たちは勇者や英雄ではないが目の前の人ぐらいは助けられる存在でありたかった。
「じゃが、」
師匠が言葉を繋ぐ。
「お主のその【心念】ならこの池の魔女をどうにかできる。呼ぶか?この池の主を。先に言っておくが地獄じゃぞ。もし間違えればこの世界は終わるからの。」
警告だった。それでも私は、私が後悔しないほうを選ぶ。間違えて滅ぶのなら、間違えなければいい。
子供が犠牲になる世界なんて、私は間違っていると思うから。
「ミライ。私たちも覚悟は決めた。ご老人、呼んでください。」
師匠はにやりと笑った。
「いい度胸じゃお主ら!覚悟を決めたやつは嫌いじゃない。お望み通り呼んでやろう」
師匠が石ころを拾い、池に投げ入れる。
「出てこい終末装置。お主を殺すものが現れたぞ」
池の水が激しく揺れる。中心から大量の泡が溢れてくる。
「本来魔女はこの世界にあってはいかんレベルの兵器じゃ。ミライ、お主の世界で言うなら人造人間の紫色のロボットみたいなもんじゃ。だがこいつは優しかった。故に特別にこの世界で生きることを許されたんじゃ。でなきゃこんなやつ即刻殺しておるわ。犠牲をお互い望んでないからこそここにいる。いいか、こやつはな。──」
池から一人の女性が現れる。海色の瞳と髪。白いワンピースを着た少女は、とても兵器には見えなかった。
「意思を持つ自然災害じゃ。お主にこれを殺せるか?」




