死海②
さて、ここに長くいるのはあまりよくありませんし戻りましょうかとした時、その場にいた全員が動けなくなった。金縛りにあったかのように身動き一つできない。
私は瞳を閉じて、胸の奥深くにある小さな、けれど確かにあるそれを掴み上げる。
誰もが持つものであり、一つとして同じものはない。
閉じた目蓋を開く。掴み上げたものを自身が知る硬度へと変化させる。白く体に纏わりつくそれは、以前より白さが増している。成長しているかのように、より純粋な力へと少しずつ無駄を省いている。
金縛りが解ける。すぐにペルシさんやパーティーのメンバーの肩を触って金縛りを解く。
安堵する暇はない。攻撃を仕掛けた犯人がまだ近くにいるはずだから。
全員が武器を構え、微かに違和感がある方向を見つめている。光源はペルシの横にある魔術一つのみだ。
なのに森の影がこちらに向かって伸びている。
「惜しいなぁ、あと少しだったのに」
森の暗闇からつい最近聞いた声が聞こえた。村長の声だ。
私たちが全員武器を構えて警戒しているというのに村長の顔から余裕の表情が消えない。
何故?とペルシが問う。この問いに意味なんてないだろう。
それでも問うたのはつまるところそういうことだろう。
「なぜ、か。単純だよ。死にたくないからさ」
村長が一歩近ずく。
「この村ぐらいしか安全じゃなくなり次は儂の番ときた。しかし死にたくはない。だから儂は、邪魔なやつから消してやったのさ」
村長は、嗤っていた。




