指名依頼②
「なんで師匠がここに?それにその子は?もしかして隠し子?」
数日ぶりに師匠に会ったと思えばまさかの子連れだった。
2年間一緒にいたのにその子には一度も会ったことはない。
師匠は笑いながら銀髪の女の子の頭を撫でた。
「まぁまずは久し振りかの。この子は儂の知り合いの娘でな。たまに一緒に過ごしとるんじゃが、お前のことを話したら会いたいと言ってきてな。まぁ暇じゃったしついでに小遣い渡しがてら依頼したというわけじゃ」
その子は私を観察するような視線を向け、やがて静かに口を開いた。
「弱いね、全然強くない。これじゃ死ぬのも時間の問題。」
興味を失ったのか、少女はため息を吐いた。
そしてかわりに別の人を指さした。
「これならまだこの人の方が強い」
「あら、私かしら。残念だけどあまり強くはないわ」
「謙遜、神になっておいて強くないは無理がある。」
そうね、とリンさんが答える。リンさんは指輪を撫でながら少女をまっすぐ見た。
「私はこの街の人と最愛の人の為に今ある力を振るうわ。だから力試しはするつもりはないし、しようものならそこの保護者に言いつけるわ。」
「うっ、それなら仕方ない。引き下がる。ごめんなさい」
旗色が悪くなったようで、少女は大人しくなった。
なお、師匠はそれを見て笑っていたため、少女から顎に一発貰っていた。