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もらったもの、受け継いだもの③
「やぁ、もういなくなるのかい?」
少しして子国さんもここに来た。激務のせいか少しやつれて見える。けれどきっと大丈夫だろう。
彼には、勝利の女神の贈り物が、薬指につけられていた。
「もしかして、もう渡してた?」
「ええ、ミライちゃんなら上手く使ってくれるでしょうから」
そっか、と彼は満足そうに頷いた。
「ミライちゃん」
「は、はい!」
彼は私の手を取って、温かな力をくれた。
「【窮鼠】。どんなに最悪な状況だろうと自分の力ひとつで逆転できる可能性の塊だ。僕はそれはもうなくても生きていける。その力は君にあげる、その力で、決まってる未来をかみ砕いてしまえばいい。
その、二人で応援してるから」
彼は恥ずかしそうに顔をそむけながら最後はごにょごにょといった。
その彼の手には、私の良く知る女性が手を重ねていた。