もらったもの、受け継いだもの②
みんなと仲良く祝勝会をした翌日、私はこの街を出ようとギルド施設にいた。
「そう、行ってしまうのね。あまりお世話することはできなかったけれどこの街から離れるのを止めるのもよくないわよね。」
桜魏さんが少し悲しそうな表情を浮かべる。
少しだけその表情で罪悪感が沸いてしまうけれど、私は帰る方法を探しにきて、探して、見つからなかった。だから次を目指す。見つけたらまた来ればいい。その時もきっと、桜魏さんと子国さん。そして美味しいお団子屋が温かく迎えてくれるだろうから。
「そうだ。貴女にいいものをあげる。手を出して」
私は言われるがまま手を出して、リンさんは自分の手を重ねた。するとなにか力が込み上げてくるような、不思議な感じがした。
「鬼人族に受け継がれる身体強化の異能ね。それともう一つ。これは最後に使うといいわ」
意味はよくわからなかったがお礼を言う。まさか異能が譲渡可能だとは思わなかったけれど。
嬉しくて顔がにやけてしまっている私を、リンさんが聖母のように微笑んで見守っていた。
リンさんも、きっと今ものすごく幸せなんだと、彼女の薬指にはめられた指輪をみて二人で笑いあった。