もらったもの、受け継いだもの
竜との戦いから一日が過ぎた。
幸いにもあの戦いで街の住人には死者は出なかったらしい。負傷者多数、行方不明者も数人いるが治癒の魔術のおかげで後遺症も残ることなく完治できるらしい。ただ、人数が多いので一週間程度は治療体制を大幅に増やすようだが、まぁ私は人を治すことはできないので頑張ってとしか言えなかった。
それと竜の攻撃を防いだ2回目の防御魔術だが、詳しく調べても魔力が充填され発動した以外におかしな点はなかった。長いことギルド職員をやってるひとでさえ匙を投げたのだから専門家でも呼ばない限り原因不明なままだろう。とは言え結果的には誰も死ななかったのでこの不具合はそのうち話題にならなくなるだろう。
竜の死骸。いや、まず死体についてだが詳しく調べてもらったところ人の体と全く変わらない構造になっていた。鱗は死亡した時に消えたのかどこにもなかった。それ以上のことは何もなかったので死体はあの封印石のある丘へと埋葬された。この世界は埋葬すると魔術で死体を土に変化させるというのを初めて知った。
それと過去の文献にあの竜のことが書かれていた。模倣竜の通称で呼ばれていたあの竜は過去にとある国のせいで数が減り、さらに減ったことが書かれていた。それ以上の詳しいことはよくわからなかった。
そして、私は今、ほかの冒険者たちと一緒に酒場に来ていた。
隣には桜魏凛さんが椅子に座っていた。
今日は祝勝会であそこにいた人はギルドのおごりと聞いて真っ先に来ていた。
今日のジュースはとても美味しく感じた。